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『失楽園』における戦闘の視覚芸術と神話

Research Project

Project/Area Number 04610279
Research Category

Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field 英語・英文学(アメリカ語・アメリカ文学)
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

鈴木 繁夫  名古屋大学, 言語文化部, 文部教官 (50162946)

Project Period (FY) 1992
Project Status Completed (Fiscal Year 1992)
Budget Amount *help
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Keywords『失楽園』 / ルネッサンス期の戦争 / ルネッサンス期の神活 / バロック / 図像
Research Abstract

1.『失楽園』において、神とサタンの二つの権力の在り方を焙り出すという本研究の第一の目的については、次のような知見が得られた。(1)この詩では、16世紀の図像や文学作品のように平和が精神の弛緩と怠惰をもたらすとは考えられておらず、戦争がもたらす惨禍と破壊が異様にまで強調されている。戦闘を称揚する古典叙事詩とは異なって、この詩は平和主義にのっとっている。(2)平和主義の典型的なあらわれが、世界は神を中心とした場として設定されていることである。この詩の神は、神話学者デュメジルの三機能神説でいう法治する王ーミトラ神ーの機能に酷似している。これに対して、サタンはヴァルナ神の機能を担っている。したがって、神との闘争に最後には敗れるサタンを描いたこの詩は、ミトラ的なるものがヴァルナ的なものを駆逐することを物語り、それによって、秩序が戦禍によって崩壊していた社会に、理性と法の支配する空間を提示したのだといえる。 2.この詩の二つの権力の対立は、兵士や農民(水平派やディガーズ)vs.市民(独立派)という政治状況に反映していることを探るという第二の目的は、次のような予想外の結論を導き出せた。(1)天国・地獄・混沌界の自然の在り方は、ミトラ的空間のなかにヴァルナ的力を見え隠れさせ、空間が平和状態(均衡と安定)でも戦争状態(不均衡と不安定)でもなく、ゆらぎを孕んだ中間的状態にあることを示す。(2)これは、『失楽園』が人間の理性によって限定された人格神の概念を突破して、強度の生命力をもつ聖霊に生かされた場へと人間を誘い出し、聖霊の声によって不断に自己を検証するダイナミックなバロック的生を要請してることに連なる。「霊の武具」をつけた戦士としてイメージ化されるこの生は、非合理の行動というヴァルナ的性質と、道徳性というミトラ的特質とを受け継いだ新たなエチカを突きつける。

Report

(1 results)
  • 1992 Annual Research Report

URL: 

Published: 1992-04-01   Modified: 2016-04-21  

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