日本手話の造語法に関する研究ー日本手話の語彙拡大をめざして
Project/Area Number |
04610299
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
加藤 三保子 豊橋技術科学大学, 語学センター, 講師 (30194856)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Keywords | 日本手話 / 造語法 |
Research Abstract |
全日本ろうあ連盟発行『新しい手話1』(1989)は、手話の造語法を研究するうえで興味深いデータとなる。本研究ではこれらのデータを分析して、新しい手話がどのように形成されているかを示し、日本手話の「作り方」について検討した。 『新しい手話1』に掲載されている手話語彙の造語法を分析した結果、日本手話は合理的、かつ生産的な方法で改良・新造がなされていることが分かった。しかし、これらの造語法はまだ完成されたものではない。今回の研究では、概ね次の点に注意を払って、現在の造語法を再検討することを提案した。1.日本語の音声を利用する際には、単に語呂合わせにならないよう、ことばの「意味」を重視する必要がある。2.常に手話言語の特徴を生かすことを念頭に置かなければならない。例えば、反復動作はものの多様性をあらわしたり、対象物が複数であることを伝える重要な要素である。3.手話の構成要素の一部を組み合わせる際には、その要素が持つ概念を考慮する。例えば、手を腹の位置に置くことの意味や、前方や上方へ動かすことの意味などをとらえることが大切である。4.まぎらわしい語彙の作成は避け、できるだけ明確に区別できるような造語をめざす。5.有効な方法はできるだけシステマティックに利用する。たとえば、表現と意味が融合している限り、1文字に1手話を固定させる方法を踏襲する。 このように、手話言語の特性を充分に生かした造語法を見極めることが大切であるが、同時に、ろう者の日常生活から多くの新しい手話が生まれていることも忘れてはならない。これらの語彙はテキストには紹介されないものの、ろう者の日常生活で非常に効果的に使用されている。これらが広く普及するよう、適切な方法を考える必要もある。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)