法治主義の観点からみた公務員養成・研修と法務事務処理の日独比較
Project/Area Number |
04620007
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木佐 茂男 北海道大学, 法学部, 教授 (30122039)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Keywords | 自治体法務 / 公務員研修 / ドイツ / 行政法 / 地方自治 / 地方自治法 / 公務員養成 / 研修 |
Research Abstract |
本年度は、まず、日本の全都道府県、6道府県の全市町村を対象として実施した自治体法務の組織と現状に関するアンケート調査の総合的分析を行った。これは、本研究代表者が代表をつとめる札幌地方自治法研究会に参加する自治体職員および研究者等による共同研究であるから、行政実務の観点が十分に活かされており、今後の自治体法務のあり方を論ずる際の基礎的データになろう。分析の結果、日本の自治体では、法務担当職員も一般職員も、制度的に十分ねられた法的教育を受けておらず、市民に奉仕する法的事務処理にかなりの問題があることが明らかとなった。 他方で、ドイツには公務員の養成制度があり、2年間ないし3年間の学校教育を経て事務職員が養成され、その後に行政現場に配属されること、養成教育の中心部分は行政実務と密着した法律教育であること、事務職員は自ら不服審査の裁決書などを起案する能力を身につけていることから法的な処理を避けることがなく、結果として市民の不服は行政不服審査や行政訴訟として多数発生すること、それが法治主義的行政運営の当然のこととされていること等を調査研究した。 ドイツの公務員の養成・研修制度を最初から体系的に研究することは容易ではないため、私は、この点に関するドイツの権威者であるシュパイヤー行政大学のブリューメル教授に包括的な論文執筆を依頼し、これに私が現地調査によって入手した諸資料を解説として付することによって、短い研究期間の中で最大限効率的な研究を行うことができた。 今後の研究に残された課題は、今少し詳細なドイツの養成・研修制度の紹介と、日本の公務員の養成・研修制度全体の中で、公務員の法的(行政法的)能力の育成・開発をどのように行うべきかを具体的に提言することである。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)