戦後初期の民衆運動・知識人における天皇制改廃構想と象徴天皇制の受容・批判論の位相
Project/Area Number |
04620009
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三輪 隆 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (80111409)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 天皇制 / 戦争責任 / 象徴天皇制度 / 裕仁 / 戦争責任の心性 |
Research Abstract |
GHQ文書のうちCIS文書の大半を検討しえたに留まり、G2とCIEの検討に入れなかった。ATIS文書については注目すべき記事の摘出に留まり、検閲雑誌等との対応を照合検討するに至らなかった。「民報」の分析はすすんだが、主要事件毎の定期刊行物の論調を比較し、その推移を検討することはできなかった。 以上の不十分さは残るが、以下の諸点が明かにされた。 1.全体として天皇制の廃止や従前のままの維持の主張は少なく、天皇の権限縮小または地位の非政治化の主張が著しいことが再確認された。 2.かかる主張は、それが、(イ)このこと自体が天皇裕仁が責任をとるととになると考えられたり、(ロ)天皇裕仁のもとで戦争に参加した民衆自身の責任を回避または曖昧化する効果をもつと考えられたという、二面的意識に支えられていたことが推定できた。 3.象徴天皇制度への改変は、1にそうものとして民衆層では知識層よりも抵抗は少なく受容される傾向があった。しかし、そこでは主権原理の転換の意義はほとんど無視され、主権者天皇から象徴天皇へ同一人物裕仁が「横すべり」することについても当然視し、これら二点を自覚的に問題視するのは社会主義ないし自由主義の傾向をもつ知識人の一部に限られることも再確認された。 以上の成果は、作業が途中に留っているため中間的性格のものであるが、従来の研究成果を実証的に裏づけた点、2(イ)(ロ)連関を民衆の心性(mentalite)に即して分析する手がかり(敗戦に対する責任か侵略に対する責任か。日本民衆に対する責任:被害者意識か、アジア太平洋の民衆に対する加害責任か、等と)を得た点で、意味をもつと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
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