現代フランスの移民と政治-1980年代フランスにおける移民の政治的位相
Project/Area Number |
04620035
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
畑山 敏夫 佐賀大学, 教養部, 助教授 (10180887)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
フランスの経済・社会の条件が変化していくことで、マグレブ諸国民を中心とした移民を取り巻く環境の変化を検証した。1973年のオイル・ショックによる経済の停滞により、フランス社会の中に、移民に対する反感・不安が高まり、住宅・教育・福祉・労働などの諸領域で、移民の存在は社会問題化していった。そして、1970年代後半からは、「新右翼」、「国民戦線」といった、移民の存在によって、フランス社会の抱える諸困難を説明する勢力が台頭し始め、1980年代には、各種選挙で極右勢力の躍進が見られた。移民=失業=治安悪化といった図式が、急速に有権者の一部に受容されていった。また、社会的不安は、フランス人のマイデンティティを問題にする意識を急速に広め、極右勢力、特に「国民戦線」は「フランス人のフランス」というスローガンで、民族主義的言説を駆使し、そのような意識を回収して行った。そのような風潮は、基本的に1990年代の現在でも続いている。 当該年度の研究では、以上のような人種主義的言動の拡大と、それを政治的に動員して急速に勢力を伸ばしていった極右「国民戦線のイデオロギーと活動を明らかにしえた。その成果は「ミッテラン政権下の移民と政治」という論文にまとめることができた。以降、フランスにおける人種主義というテーマで明らかにしえた成果をもとに、ヨーロッパ全域に拡大しつつある外国人排斥、人種差別の動きにも研究の対象を拡大し、EC統合と非ヨーロッパ系移民の問題へと分析を移していくことが今後に残された課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
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