Project/Area Number |
04630046
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic history
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
小林 健一 東京経済大学, 経済学部, 助教授 (60137396)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1992: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 電力国営化 / 地域開発 / 兼業農業 / 重化学工業 / 産業構造 / 電力需給 / 品質管理 / 原子力発電 |
Research Abstract |
今年度は、(1)TVA電力事業と河域工業化、と(2)TVA火力発電と環境問題の発生、を研究課題としたが、資料などの制約で(2)を「TVA原子力事業の危機とリストラ」にかえた。 まず、(1)の課題については、1930‐40年代のTVAの電力事業の形成・確立・展開を歴史的に考察し、その大規模な電力開発がテネシー河域の工業化に、さらにそれが農業経済に与えた影響を検討した。巨大な電源開発は、とくに電力消費型のアルミニウム工業など金属工業とリン酸肥料など化学工業の集中的立地をもたらした。同地域では、上流域においては限界的な自給農場、下流域では小作制などの問題をもつ綿作農場が支配的な農業地帯であり、1930‐40年代は、上流域、下流域ともに、上層農場が、畜産・酵農業に近代化しつあったが、農家の大半を占める下層農民は近代化できなかった。TVA電力事業は河域の工業化を達成し、これら下層農民を工場の雇用に吸収することによって、つまり、兼業農業によって農民の生活水準の向上を達成した。 ついで(2)TVA原子力事業の危機とリストラ、のテーマでは、1966年からの大規模な原発建設の背景と、危機の原因、そしてリストラの展開を考察した。原発建設は、石炭火力発電による大気汚染など環境問題を回避しつつ、地域の経済成長に応ずるためであった。しかし、1980年代中期の原発事業の危機は、地域の産業構造の変化(電力多消費型産業の衰退)による電力需要の停滞、および、TVA自身の建設作業における品質管理の重大な弱点による原子炉の安全性懸念によるものだった。1986年から、民間原子力産業の助力を得てTVAのリストラチャリングがはじまったが、品質管理についてどれだけの改善がなされているか、まだ十分とはいえず、危機を脱したとはいえないようである。
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