Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 英之 名古屋大学, 理学部, 教授 (80025270)
鍜島 康裕 名古屋大学, 理学部, 助手 (70240801)
横井 英夫 名古屋大学, 教養部, 教授
谷川 好男 名古屋大学, 理学部, 講師 (50109261)
北岡 良之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022686)
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Research Abstract |
高次のメタプレクティック群に現れる留数形式は,そのフーリエ係数がガウスの和を通じてメビウス関数に結び付くことから,リーマン予想解決のための有力な手がかりになるものと期待されるが,新たな進展を見るためには,数論的関数をなるべく簡単に,直接な解析的表示によって統制する手段が不可欠である.その方向において,さしあたり無限次行列を用いて,具体的な結果を出してみたいというのが本研究の主目的であったが,その目的は一応十分に達成されたといってよい.特に,ある種の特殊関数の値によって構成された無限次行列を取れば,それによって零化される無限次ベクトルは,行列の作用が意味を持つ限り,無条件で保型形式のフーリエ係数になるという結果が得られ,しかもその際,ラプラシアンの固有値に対応するいわゆる尖点形式と,リーマンのゼータ関数の零点に対応する非尖点形式とが,同じ無限次行列によって統制されることが示された.これはきわめて意味深い結果である.なぜなら,ラプラシアンのような楕円作用素の固有値とゼータ関数の零点とは,古来密接な関係があるのではないかと考えられ,中でもヒルベルトおよびポリアによって1915年頃述べられた意見は有名であるが,実際にそれらの間の具体的関係は,現在まで全く見いだされていなかったからである.従って本研究は,リーマン予想に関して,少なくとも新しい研究の道を開いたということができる.本研究ではこの他にも,メタプレクティック理論と代数体との関係において,古典的2次形式の種の理論中の構成的部分が,代数体に全く拡張できていないことが指摘され,ここにも整数論の新しい発展の余地のあることを明らかにした.このことに関しては,研究計画で予定した通り,平成4年12月7日から11日まで京都大学数理解析研究所において開催された整数論研究集会を,重点的な発表の機会の1つとして利用することができた.
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