Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
我々の研究目的は,双正則写像で不変な計量を通して,双曲型複素多様体の性質を調べることであった。研究分担当との討論,情報交換及び共同研究で,この一年間に得られた主な結果を次に述べる。 (1)等質有界領域のバーグマン計量に関して正規〓代数を使った解析について。 バーグマン計量のリッチ計式は計量に比例するといういわゆるアインシュタイン性をもつ。Carpenter-Gray-Willmoreは第2リッチ形式が計量の2乗に比例するという第2アインシュタイン性をもつような対称有界領域を調べて,それらは各次元の球体及び6,16,27次元の特別な3個の対称領域であることを示した。またGeattiが,もっと一般的に,等質有界領域の中で第2アインシュタイン性をもつものは,上記の対称領域以外に,26次元の1つのSiegel領域も可能性のあることを示した。我々は,正規j-代数の概念を用いて,バーグマン計量とその第2リッチ形式を表現し,正規接ベクトルの特別な方向の値を比較することにより,上記26次元のSiegel領域は,第2アインシュタイン性を持たないことを示した。これにより,等質有界領域で第2アインシュタイン性をもつものが完全に分類されたことになる。 (2)多量劣調和関数を用いて,研究代表者が定義した計量について。 複素平面内の円環領域Aの小林計量をK,上記計量をP,カラテオドリ計量をCとする。比C/P,P/Kは区間(0,1)の値をとる,正則自己同型で不変な関数であり,いずれも,Aの中心円で最小値をとることが知られていたが,我々は,C/PとP/KがAのダブルであるトーラスの双対トーラスに関する,それぞれ,2種類のテータ関数そのもので表されることを示した。不変計量がテータ関数で表されるというのは興味深いことである。
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