Research Abstract |
最も一般的多変数超幾何級数を古典的なMellinの立場の現代化といへるSatoのb函数の立場にたって定義し,その収束証明とオイラー型の積分表示(以下『オイラー型』略)をもつことを以下の(1),(2)を用いて同時に示した。ー(1)発散の困難を避けるためにtwistedサイクルと呼ばれる多価解析函数より自然に定まる局所系に値をもつtwistedホモロジーの元を具体的に構成した。(2)古典的なKummerによる積分表示を構成するアイデアを現代化するため,今まで知られている積分表示を,多価函数に付隨するtwistedコホモロジーの立場で定式化しなおし,その本質を『中間次元のtwistedコホモロジーが1次元』と簡潔にまとめた。次上の考察の応用として,今まで知られている積分表示を組織的に与え,さらにHornの表中の積分表示の未知のHGFに対し,explicitに積分表示を与えた。これは後にDwork-Loeserの研究に対する動機を与えた。以上の研究で整備した理論をとくに(k,n)型超幾何函数(HGF)ーいわゆる青本ーGelfand HGF)に適用し,twistedドラム理論の結果をフルに応用して,そのHGFの積分表示よりみた構造をはっきりさせた。とくにtwisted理論中にある双対性を用いて(k.n)型超幾何微分方程式の解のロンスキアンの零でないことを示し,独立な解をすべて積分で与え,上記のDEの階数と特異点の所在を厳密に示した。これは(k,n)型の上記DEのモノドロミー決定の基礎を与えた(松本・佐々木・高山・吉田の結果)。以上の考察は吉田正章氏と現在共同研究中のtwistedサイクルの交点理論の研究につながり,最新の成果として,『(k,n)型HGFの場合に,この交点行列を明示的に示すことができ,これがモノドロミー不変なエルミート行列なること』〓の発見がある。
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