Research Abstract |
離散システムの特性および動的挙動を計算機の使用を前提にして解析するためのアルゴリズムを提示し,またそのアルゴリズムの収束性などの性質を調べるのが研究の主目標であり,本年度は特に次を中心に研究した。 1.未知の連続時間定数係数線形システムと考えられる系があり,それをシステム同定した結果,離散時間定数係数線形システムが求められたとする。このとき元の連続時間定数係数線形システムを復元することは単に興味があるだけでなく,連続システムの既知の諸結果を使えるので重要である。ここでは行列の指数関数のDunford積分による表示,一般固有空間への射影,留数計算を用いることにより,元の連続時間定数係数線形システムを決定する実用的な方法(アルゴリズム)を提案した。 2.1の逆の問題、すなわち連続時間定数係数線形システムが既知の場合に0次ホールドによる離散化で生じた離散系を決定する問題についてもアルゴリズムを提案した。なお1と2のアルゴリズムの各段階の計算はいずれも構造安定であることが知られているので実際に有用なアルゴリズムである。 3.(1)関数の縮小変換のもとで絶対ネールンド総和法が遺伝するための十分条件, (2)位相空間上の複合確率測度が弱収束するための一つの十分条件の検討, (3)関数の並べかえとMajorizationの理論とその応用 が上の1,2の研究と関係して問題となることがわかってきたが,これらについても成果を得ることができた。 4.上記は科研費での出張先の大学での研究討論により発展され,日本数学会の応用数学と函数解析学の分科会,実解析セミナー,ポーランド数学会で講演し,その一部は研究発表欄の論文となり,さらに研究中である。
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