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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究では、連続波による機械的共振法を用いて,超伝導薄膜の磁場中での音速の精密測定を行うことにより,薄膜でしか得られない物質の音速の決定法を模索することを目的とした.ここでは,薄膜試料と基板の音速変化を分離するために,超伝導体で磁束のピン止めにより音速が磁場とともに大きく変化することを利用した. 研究代表者の所属が変更になったために,研究計画調書では旧所属の超音波測定系の標準信号発生器を高精度の物に置き換えることにより,音速の測定精度を向上させる予定であったが,それを変更し,測定系全体の作製を行った.周波数精度が10Hzと旧所属のものより1桁よい標準信号発生器を購入し,また,広帯域増幅器,同軸検波器についても旧所属の装置と同等以上のものを揃えたため,0.1ppmの音速測定精度が得られるようになった. 測定系の作製と平行して,旧所属の装置を用いてBi系酸化物超伝導体のバルク試料を用いて,磁場中での予備実験を行った.その結果,1テスラの磁場中でも磁束のピン止めによって10ppm程度の変化が音速に現われることが分かった.また,レーザー・アブレーション法を用いて,上記物質の薄膜を作製し,その磁束ピン止め特性の測定を行い,バルク試料におけるものと対応する結果を得た.以上のことから,バルクと薄膜を用いて超音波測定を行った際の対応付けができるものと考えられる.現在,薄膜を用いた超音波測定を行っているところであるが,さらに磁場強度を上げるか,測定精度を上げる必要があることが判明した.最近,低雑音の位相検波増幅器を購入したので,さらに精度を上げることができ,薄膜の音速測定ができるようになるものと期待している.
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