Research Abstract |
ランダム系の磁気相転移を研究する上でスピングラス(SG)とならび重要なランダム異方性を磁性体(RAM)の性質に関する実験的研究を行った。本年度の研究実施計画に基づき以下のように進めた。 1)アモルファス(Dy_<16-X>Gd_X)Fe_<84>(X=0.0,3.5,4.8,6.7,7.6,13.5)をスパッタリング法で作製した。転移温度、保磁力の測定からGdの添加で試料の局所的異方性と交換相互作用の比D/Jが小さくなる事を確認した。 2)作製した試料の磁化の温度変化を静磁場の大きさ(H)を変え測定した。DyFe(X=0.0)の場合と同様に熱履歴の始まる温度(Tf)、低温側のZFCの変曲点(Ti)とし、H‐T面内に磁気的相図を作製した。 3)磁場中交流帯磁率の測定を行った。主にTfで横磁場に異常が、又、Tiで縦磁場帯磁率に異常が見出された。帯磁率から決めた相図は磁化測定の結果に対応している。(今回、帯磁率測定の自動化を行った。) 4)これらの結果から次の事がわかった。 (1)D/Jが小さくなるにつれH‐T面でTiの線は温度軸の方へ傾き低温側に移動する。又、Tf線はしだいに磁場軸の方に傾く。すなわち、ハイゼンベルグSGに似た臨界曲線を持つa‐DyFeにGdを添加してD/Jを小さくしてゆくと、しだいに通常のフェリ磁性転移にクロスオーバーしてゆくことが示唆される。 (2)しかし、X=7付近の試料のみZFCに新しいピークが見られた。D/Jのある領域で何等かの多重転移が期待される。ただし、これが組成むらや、膜全体に存在するコヒーレントな異方性のむらによる可能性も排除できない。 今後は、この辺の問題を明らかにした後、今年度の成果を論文発表したい。 なお、今回の研究は平成4年秋の物理学会、応用磁気学会で発表した。
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