Project/Area Number |
04640355
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 助教授 (20172629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 有機伝導体 / 金属-非金属転移 / 混合原子価 / 重い電子系 |
Research Abstract |
(DMe-DCNQI)_2CuはCuがCu^<2+>,Cu^+の混合原子価をとり、しかも加圧下において金属-非金属転移を、中間の圧力領域では温度の低下に伴って金属に-非金属-金属へとリエントラントな転移を引き起こす。また無加圧下、30-50Kにおいて帯磁率に大きな山をしめし、低温電子比熱が通常のものに比べ4倍も大きい異常な電子状態を持っている。この異常がどのような要因によって起こるものなのか解明するため、圧力下の電子スペクトルを測定した。このため下記の4つの系の測定を行った。 1)(DMe-DCNQI)_2Cuに一軸性の圧力を印加しながら、ESRを用いて帯磁率を測定し磁性からみた電子状態の解明を行う。2)(DMe-DCNQI)_2Cuの水素を重水素で部分的に置換し、化学的に圧力を印加し、低温比熱を測定した。3)金属‐非金属転移をみせる(DBr-DCNQI)_2Cuおよび(MeBr-DCNQI)_2CuのCuをLiで置換し転移を抑え、低温比熱を測定した。4)1)と同様(DMe-DCNQI)_2Cuに一軸性の圧力を印加させながら、熱緩和法をもちいて低温比熱を測定する。 以下項目ごとにその実験結果を示す。 1)(DMe-DCNQI)_2CuのESRによる帯磁率の測定が分子研の森により行われている。それによれば帯磁率は30-50kで山を見せている。一軸性の圧力の印加により山の大きさは急激に増大すると共に極大をとる温度も昇温と降温過程により大きく分かれ、ヒステリシスを示す。150bar以上の圧力下では温度の低下に伴って帯磁率は増大し20-30Kで飽和し低温で一定値を示す。さらに加圧すると、帯磁率はCurie-Weiss的温度依存性を示す。すなわち圧力の増加に伴って、リエントラントな領域では帯磁率の増加が、絶縁体領域では帯磁率の発散が観測された。2)重水素置換により化学的に加圧を施すにつれリエントラントな領域、および非金属領域へ移行すること、リエントラントな領域ではフェルミレベルにおける状態密度N(E_F)は増大していることが明かとなった。3)2)の場合とは逆にLi添加により減圧効果が電気伝導の測定から明かとなった。また2)と同様リエントラント領域ではN(E_F)が増大しており、(DBr-DCNQI)_2Cuにおいてはγ=160mJ/MolK^2のように代表的な1次元有機伝導体の(TMTSF)_2ClO_4の10mJ/molK^2より1桁以上に大きくなった。4)1)の帯磁率側定と同様一軸性の圧力を印加しながら低温比熱を測定する予定である。一軸性の加圧下の比熱測定を行うためには原理的に単結晶で測定しなけれならず、これが測定の不可を決定する。測定系を改良した結果、現時点では0.2mg程度の(DMe-DCNQI)_2Cuの試料の測定が可能となった。現在圧力をコントロールしつつ比熱測定を行っている。
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