Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
雲仙火山全域の37点においてELF-MT法による電気抵抗測定を行い,雲仙火山周辺の浅部地下構造を調査した.その結果,標高200m未満の海岸に近い地域では,数100Ω・mの表層の下に海水準とほぼ同じレベルに帯水層が見られ,山体部では有意に高いレベルに帯水層が見られた.特に,普賢岳周辺や雲仙温泉などの地熱兆候地域,および金浜・布津断層や飯岳から九千部岳にかけての構造線に沿う地域などにおいて帯水層が浅くなる傾向が見られた.この事はこれらの断層を通して深部の熱エネルギーが地表へ輸送されている事を示しているのであろう.一方,金浜・布津断層とともに島原地溝を形成すると言われる千々石断層に沿う地域では帯水層が深くなっており,熱エネルギーの輸送という観点からは両者の断層系で著しい違いのある事が明かとなった. これより深部に関しては,ULF-MT法による電気抵抗測定を行った.その結果,雲仙地溝の北側では深さ2〜3kmにおいて数10〜100Ω・mとなるのに対して地溝内では20Ω・m程度と低くなっている事がわかった.また,雲仙温泉付近の他,飯岳から九千部岳にかけての構造線付近で抵抗が低くなっている.特に後者は,噴火前の地震群発域に対応しており,興味深い結晶である.この低抵抗域がマグマの上昇経路であるかどうかは,現在までの観測点密度では不十分で,今後より高密度の観測を行う必要がある. 繰り返し観測による比抵抗の時間変化は,現在のところ検出されていない.これは,繰り返し観測を行っている場所が適しているかどうかも含めて検討する必要がある.そのため,新たにネットワークMTを開始しており,今後の結果が期待される.
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