Project/Area Number |
04640434
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西川 恵子 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (60080470)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 混合状態 / 濃度ゆらぎ / Kirkwood-Buffのパラメータ / 相関距離 / 臨界点 / 相分離 / アセトニトリル水溶液 |
Research Abstract |
二種類の液体を混ぜた場合、その相互作用の違いにより様々な混合状態が生ずる。例えば、完全ランダムに混り合う理想混合、同種または異種分子がクラスターを作る会合混合、臨界点を経ての相分離などである。本研究は、臨界点を有する試料に焦点をあて、その混合状態および相分離にいたる過程を定量的に明らかにすることを目的とした。 試料としてはアセトニトリル-水の系をとり上げた。この溶液はC_A(アセトニトリルのモル分率)として0.38、温度-1℃で上部臨界点を有することが知られている。25,6,-1℃の三つの温度で、それぞれ10種類の濃度でX線小角散乱実験を行い、濃度ゆらぎ,Kirkwood-Buffのパラメータ、相関距離を求めた。また上記三種の温度で、X線広角散乱実験を行い動径分布関数を得た。X線小角散乱実験の結果は以下のとおりである。温度を下げていくにつれ、濃度ゆらぎ、相関距離ともに急激な増加を示している。そして、その極大はC_A=0.38である。相関距離は、C_A=0.38で、25℃では20A^^○程度,0℃では50A^^○にも達し濃度不均一な領域(すなわちクラスター)が無数にできていることが示された。一方、X線広角散乱より求めた動径分布関数は、温度による変化が認められない。 以上を総合すると、アセトニトリル-水の相分離にいたるモデルを次のように描くことができる。すなわち、室温付近ですでに半径20A^^○程度のクラスターができており、温度の降下とともに、このクラスターどうしが合合し、さらに大きなクラスターに成長し、-1℃でマクロな相分離に至る。しかし、このクラスターは10A^^○程度の尺度で見れば、温度による構造変化はしていない。さらに相分離した二層を成分分析することにより、相分離はアセトニトリルあるいは水がそれぞれ単成分でクラスターとして成長するのではなく、二種の分子が会合し合い、アセトニトリルリッチ、水リッチなクラスターに分れていくことがわかった。
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