Project/Area Number |
04640438
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理化学一般
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
相原 惇一 静岡大学, 理学部, 教授 (40001838)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 多環式芳香族炭化水素 / PAH / 星間分子 / PM3分子軌道法 / CH結合解離エネルギー / フラーレン / 求電子置換反応 / 芳香族性 |
Research Abstract |
1.惑星状星雲などにある縮合多環ベンゼン系芳香族炭化水素(PAH)は、紫外線照射によって部分的に脱水素していると考えられる。そこで、PM3分子軌道法を用いて、ベンゼンからコロネンまでの典型的な11種類のPAHとその陽イオンラジカルについてCH結合の解離エネルギーを計算した。モノデヒドロPAHラジカルの基底状態は2重項である。一方、モノデヒドロPAH陽イオンでは、一般に1重項と3重項のエネルギー差が大きく、フェニルカチオン以外の基底状態は3重項と考えられる。 CH結合の解離エネルギーは、分子の電子状態や水素の結合位置によって異なる。中性分子の場合、解離エネルギーの値にばらつきが大きく、自由原子価の小さな炭素に結合した水素が解離しやすいことがわかった。したがって、中性分子では反応性に乏しい炭素に結合した水素ほど解離しやすいことになる。この結果は、宇宙で自由原子価の大きな炭素に結合したソロ水素によると思われる強い赤外発光が観測されることと符合する。陽イオンラジカルでは、同一ラジカル内でのCH解離エネルギーのばらつきは小さく、反応性との関連は見られなかった。モノデヒドロPAHラジカルやモノデヒドロPAH陽イオンでは、水素を失った炭素がその両隣の炭素とつくる結合は少々短く、この3つの炭素原子がつくる角度は脱水素前よりも約9°大きくなる。 2.グラフ理論的考察により、PAH分子が求電子置換反応する際の置換の位置は出発分子の芳香族性とほとんど関係がないことがわかった。非ベンゼン系炭化素水では、芳香族性が置換反応の位置に影響を与えることがある。 3.典型的なフラーレン分子およびその多価イオンのトポロジー的共鳴エネルギーを計算し、C60分子が格段の熱力学的安定性をもつこと、および、多くのフラーレン分子の多価陰イオンが大きな芳香族性をもつことを見いだした。この結果は金属内包フラーレンの安定性を説明するのに利用できる。
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