Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Research Abstract |
本研究課題の当該年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 (1)γ-フェニルチオ-α-エノンRCH(SPh)CH=CHCORを還元したところ,反応はγ位のフェニルチオ基の立体電子的効果により高立体選択的に進行し、syn-アリルアルコールRCH(SPh)CH=CH(OH)Rがほぼ単一の生成物として得られた。さらに基質としてε-フェニルチオ-α,γ-ジエノン体RCH(SPh)CH=CH-CH=CHCORを用いて同様に還元したところ,この場合にも異性体比8対2程の選択性で反応が進行することが判明した。すなわちフェニルチオ基の立体電子的効果は、二つのオレフィン性結合を通じても認められることを明らかにした。 (2)置換基の立体電子的効果による制御の限界と一般性を究めるために以下の研究を行なった。 (a)γ-アルコキシ-α-エノン体RCH(OR)CH=CHCORの還元:(1)のフェニルチオ基のかわりにアルコキシ基をもつ基質を合成し、3の還元反応の選択性を検討した。アルコキシ基としてはベンジルオキシ,t-ブチルジメチルシロキシおよび水酸基を用いた。還元剤としてはLislH_4,DIBAL,L-Selectrideを用いた。反応はいずれの場合にも対応するアリルアルコールRCH(OR)CH=CHCH(OH)Rを収率よく与えたが,ジアステレオ選択性はフェニルチオ基の場合ほど高くなく,アルコキシ基は立体電子的効果をほとんど示さないことが判明した。 (b)γ-アルキル-α-エノンRCH(CR_3)CH=CHCORの還元:本基質を用いた場合,一つの例すなわちt-BuCH(CH_2Ph)CH=CHCO-t-Buを除いて,選択性はほとんど観測されなかった。アルキル基は本反応の遠隔不斉誘導にほとんど影響しないことが明らかになった。 以上のように本年度の研究計画に記載の研究は十分に達成された。
|