本邦の歴史的大噴火に伴う大気へのイオウ放出量の見積り
Project/Area Number |
04640554
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
分析・地球化学
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日下部 実 岡山大学, 地球内部研究センター, 教授 (20015770)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 火山噴火 / 大気環境 / 気温低下 / イオウ放出量 |
Research Abstract |
火山の噴火に伴って大気に放出されるイオウおよびハロゲン(SO_2,HCl,HFなど)は、噴火後に全地球規模の気温低下をもたらすなど大気環境への影響が大きい。そこで1回の噴火に伴う揮発性物質の放出量の定量化が重要になる。本研究では初めて、日本での歴史的大噴火に伴って大気に放出されたイオウおよびハロゲン量の見積りが行われた。対象とした噴火は、摩周カムイヌプリ(990?)、樽前(1667,1739)、渡島駒ケ岳(1640,1694,1856,1929)、十和田(915?)、榛名二ツ岳(6世紀 初期,中期)、浅間(1108,1783)、富士(800,1707)、伊豆大島(1112)、神津島(838)、桜島(1471,1779,1914)、白頭山(1090?)である。 ガラス包有物および基質ガラス中のイオウ、塩素、フッ素の濃度差およびテフラの総放出量に基づいて、これら元素の大気への放出量を見積もった。イオウ放出量は、十和田915(?)年、渡島駒ケ岳1640年の噴火時に特に多く、放出量は4〜7×10^<11>gであった。塩素放出量は、十和田915(?)年、渡島駒ケ岳1640年、樽前1667年および1739年、白頭山1090(?)年の噴火時に多く、いずれも1×10^<12>g程度であった。フッ素放出量は、特に白頭山1090(?)年噴火時に多く、次いで桜島1779年噴火であった。これら3元素について、全放出量をTotal acid (H_2SO_4+HCl+HF)として求めると、白頭山1090(?)では6.1〜7.7×10^<13>g、十和田915(?)年、渡島駒ケ岳1640年および桜島1779年噴火では2〜3.5×10^<12>gであった。 Greenlandの氷床コアには過去の火山噴火による酸性降下物質物質が堆積しており、氷床コアの各層中の水素イオン濃度は過去の火山噴火時のtotal acid放出量と関連づけられている。Greenlandの氷床コアは渡島駒ケ岳1640年噴火による高い水素イオン濃度が記録されていることから、白頭山1090(?)年、十和田915(?)年、渡島駒ケ岳1640年、桜島1779年噴火は、全地球的な大気環境に影響を及ぼしたと推定される。今後は更に時間をさかのぼって、本邦の大噴火に伴う揮発性物質放出量のデータを充実させたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)