Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Research Abstract |
我々はこれまで,半サンドイッチ型Cp^*TaS_3Li_2骨格を持つ一連のタンタルスルフィド錯体を合成した。この新しいスルフィド錯体の特長は,対カチオンのリチウムが硫黄原子と結合していることで,種々の後周期遷移金属ハライドと反応して,リチウムが遷移金属と置換した異核金属スルフィドクラスターを与える。例えば,RuH(Cl)(PPh_3)_3および[Rh(Cl)(cod)]_2との反応の場合,ホスフィンは一部解離されるが,それぞれヒドリドとcod配位子を保持したままクラスター形成がなされることをX線構造解析により確定した。得られたクラスターは(Cp^*TaS_3)[RuH(PPh_3)_2]_2と(Cp^*TaS_3)[Rh(cod)]_2で,前者は非対称な三角TaRu_2骨格を有するのに対し,後者は対称なTaRh_2骨格を持つ。TaRu_2クラスターの2個のヒドリドは各々別のRuと結合し,金属間には架橋しない。この非対称TaRu_2骨格構造が溶液中でも保たれていることを,^1H-および^<31>P-NMR測定により証明した。 TaRh_2クラスターはホスフィン,イソシアニド,一酸化炭素と容易に反応する。ホスフィンとの反応では(Cp^*TaS_3)[Rh(PPh_3)_2]_2が得られ,イソシアニドとの反応は(Cp^*TaS_3)[Rh(CN^+Bu)_2]_2を与える。興味深いことに,(Cp^*TaS_3)[Rh(PPh_3)_2]_2と一酸化炭素の反応は[Cp^*TaS_3][Rh(CO)(PPh_3)]_2を与えるのに対し,(Cp^*TaS_3)[Rh(cod)_2]に一酸化炭素を反応させると(Cp^*TaS_3)-[Rh(CO)x]_2と思われるクラスターを経由して分解する。一方,(Cp^*TaS_3)-[Rh(PPh_3)_2]_2にイソシアニドを加えると[Rh(CN^tBu)_4]^+が生成する。 Cp^*TaS_3Li_2は(Et_4N)[Mo(CO)_3I]とも容易に反応し,TaMo_2クラスター(Et_4N)_2[Cp^*TaS_3Mo_2(CO)_7]を与える。クラスター形成においてCO3分子を解離する。一方のMoにはCO4分子が配位するのに対し,他方のMoにはCO3分子のみが結合し,配位不飽和となる。
|