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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,大陸地殼形成に深く関与している大規模衝上断層運動に伴う変成・変形現象を解明する目的の一部として,深さの異なる二つの衝上断層にまつわる変成・変形作用を検討し,以下の結論を得た. 1.極東ネパールの横断ルート沿いの変成分帯によると,100Kmにおよぶナップを作る主中央衝上断層帯にほぼ平行に分帯され,衝上運動にともなう変成作用が認められる. 2.バランス断面法による復元地質断面のよると,極東ネパールでは中新世以来の地殼短縮量は185-245Km,短縮率は59-65%に達する.その変位量の大部分は,下部のデコルマンから派生する主中央衝上断層の運動による. 3.日高変成帯南端部西側にはマイロナイトが広く分布する.その中にブロック状に産出するしそ輝石トーナル岩はザクロ石・しそ輝石・黒雲母の化学組成などからみて,北部地域のグラニュライト帯に見られる下部トーナル岩と同じと考えられる.したがって,マイロナイトの原岩は下部トーナル岩およびグラニュライト相岩石と考えられる. 4.マイロナイトは顕著な衝上断層を境に上部層と下部層に分かれる.各種の変形構造の解析によると,上部層ではN→S,下部層ではNW→SE方向にそれぞれ上盤が下盤に対して移動する剪断運動が認められる.前者の運動は日高変成帯に広く認められる右ずれを伴う衝上運動に,また,後者の運動は後のナップ形成に関わる衝上運動によるものと考えられる. 5.マイロナイトの黒雲母K-Ar年代は19-18Maを示し,マイロナイト形成運動は19Ma以前であったと考えられる.
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