Research Abstract |
フィッション・トラック年代測定では標準年代試料として,フィッシュキャニオン・タフ(FCT)などの既知年代試料の鉱物(ジルコン・アパタイトなど)が用いられる。未知年代試料は標準年代試料から求められるが,原子炉の違いや同一原子炉でも照射場の違いによって,標準年代試料の年代は「ゆらぎ」を持ち,未知年代試料の年代も正しいとは言えない。原子炉の照射場では,(] SY.encircled1. [)^<235>U+熱中性子の核分裂生成が主で,これが年代測定計算に必要とされるが,これ以外に(] SY.encircled2. [)^<235>U+エピサーマル中性子(] SY.encircled3. [)^<238>U+速中性子(] SY.encircled4. [)^<232>Th+速中性子の核反応が起き,これが年代の「ゆらぎ」をもたらす。今年度,東京大学原子力研究総合センター(立教大学原研)で行ったF孔、サーマルコラムでも(] SY.encircled2. [)〜(] SY.encircled4. [)の影響が認められた.裸照射およびCd照射の組合せでは,962a標準ガラスを用いるとトラック密度比(裸照射トラック密度ーCd照射トラック密度)は,5.1(F孔),31.8(サーマルコラム),21.3(照射溝)であった.この値の違いは,明らかに,各照射場における中性子エネルギー分布の違いを反映していると見られる.つまり,F孔での年代測定用の中性子照射は,サーマルコラムや照射溝での照射に比べ,(] SY.encircled1. [)以外の核反応が起こりやすく精度のよい年代を得るには難のあることが示された.従来のCd照射を行わないで,U/Thの異なるガラス組合せでトラック密度比を見ると次のような結果であった.CN1/962aでは,2.7(F孔),2.9(サーマルコラム),3.2(照射溝).これでは,Cd照射を行った場合より明らかに,(] SY.encircled2. [)〜(] SY.encircled4. [)の影響を検討することができない。
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