Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
平成4年度において課題研究代表者(八木下)はまず従来行ってきた概査を調査地域全域に広めて行った(調査日数10日)。調査対象となった上部白亜系久慈層群および古第三系野田層群のうち今年度は野田層群を集中的に調査した(調査日数25日)。その結果,本層群の主要部を構成する河成礫岩層の古流向を明らかにすることができた。すなわち本層群下部の港層の礫は西方ないし西南西方向からのものであるのに対し,上部の久喜層では北方ないし北々西方向からの供給源に加えて,東方起源の礫もあることが明らかになった。なお河成礫層の古流向の判定に際して,インブリケーションの識別にはしばしば困難が伴うが,課題研究代表者は向斜構造(凹状)をなす礫の配列から,河川のチャンネル構造の復元が可能であることを明らかにし(雑誌論文印刷中参照),この手法を用いても古流向の推定を行った。 本研究課題の当初の目標の一つに親潮古陸の存在が当該調査地域の古堆積環境にどのような影響を与えたかを明らかにすることがあった。久喜層中の礫に東方起源のものがあったことが直ちに親潮古陸の存在を示唆するものではない。しかしながら,本層群中の礫種として圧倒的に多い中〜大礫サイズの流紋岩ないし石英安山岩の存在は当該調査地域の近辺に火山帯があったことが示唆され,古第三紀に火山フロントが三陸沿岸部に存在したことが推定される。つまりこれら多量の火山礫の存在から,subduction zoneが現在の日本海溝よりさらに東方にあったこと,そしておそらく親潮古陸が海溝の西方に存在していたことが傍証として考えられよう。現在課題研究者は古第三系野田層群に関するフィールドデータを整理中である。また上部白亜系久慈層群の岩相解析にも取りかかっている。これらの総合的解析から三陸沿岸部の後期白亜紀〜中期古第三紀の古堆積環境の全貌を明らかにしたい。
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