日本海の海洋底玄武岩類の磁気的性質-複雑な地磁気縞模様の原因を探る-
Project/Area Number |
04640702
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地質学一般
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鳥居 雅之 京都大学, 理学部, 助教授 (60108983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 好幸 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (40171722)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 海洋底玄武岩 / 岩石磁気学 / 大和海盆 / ファンデフカ海嶺 / ODP / マグヘマイト化 / 鉄の溶脱 / 熱水活動 |
Research Abstract |
海洋底玄武岩の岩石磁気学的研究の例は必ずしも少なくはないが、磁気異常が明瞭に観測されない地域を意識的にターゲットに選んで行った研究の例はこれまでなかった。本研究では、ODP127/128航海(日本海)と135航海(北部ファンデフカ海嶺)で採取された玄武岩類の詳細な岩石磁気学的研究を行った。また、火成岩類より移動した鉄元素の挙動を知るために、同時に採取された堆積物の岩石磁気学的研究も並行して行った。 大和海盆Site794で得られた苦鉄質岩試料の含まれる代表的な磁性鉱物は、よく発達したクラックのある数10ミクロンメータの大きさのチタノマグヘマイトであった。これらは飽和磁化や帯磁率では標準的な大洋底玄武岩と差はないが、飽和残留磁化/飽和磁化比や保磁力は小さい。これらの事実から磁性粒子のサイズが大きいことが判明した。このためケーニヒスベルガー比が下がるなど安定な残留磁化の保持者になりえないことが推察された。さらに、ユニット毎に自然残留磁化の極性が異なることも分かり、大和海盆の地殻が総体として明瞭な磁気異常のソースにならない理由が理解された。火成岩類の直上の堆積物では磁鉄鉱の生成が普遍的に観察され、これに必要な鉄元素が火成岩中の磁鉄鉱のマグヘマイト化にともなう鉄の溶脱に関係してるかどうか、今後の興味深いテーマとなることも分かった。 ファンデフカ海嶺では、磁性鉱物はほとんどすベて純粋な磁鉄鉱である。ただし、その量は標準的な大洋底玄武岩と比ベて1桁ほど小さいことが岩石磁気学的手法によって推定された。ここでは盛んな熱水活動により、本来火成岩中に存在したチタノマグネタイトは激しく酸化され、さらに溶脱を受けたものと推定される。このため磁性鉱物の含有量の極端な減少が起こり、さらに2次的に生成された磁鉄鉱が最近の地球磁場による弱いが安定な残留磁化を獲得したものと思われる。このためこの地域の海底は周囲に比ベて相対的に磁化強度が下がり、それによるエッジ効果で見かけ上の負の磁気異常が生じているものと考えられる。このような熱水活動が激しい海底で鉄鉱物がどのような挙動を示すのかという興味深いテーマの一端が、岩石磁気学的手法の応用によって明かにされたものと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)