Research Abstract |
本研究は,単相液ジェットおよび固体粒混入液ジェットの高速気流中での微粒化機構や噴霧流動を明らかにして,燃焼器設計の際の指針を与えることを目的とし,まず2ビーム相関法によるレーザー波速測定器を新たに開発して,液ジェットの分裂に大きな影響を及ぼす液ジェット表面上の波の速度や周波数を測定した。その結果,波の挙動は,液体ノズル出口近傍のジェットの噴出速度に支配される領域と,出口からかなり下流位置で気流速度に支配される領域に,大きく分類されることが明らかとなった。設備備品費で購入した画像処理装置による観察結果によれば,その境界は,液ジェット表面上の波が大きく崩れ,表面から微小粒子が生成され始める位置にほぼ一致する。またこの位置は,液ジェットが垂直から約30度ほど傾いた位置である。さらに,液ジェットの分裂周波数は,波の振動周波数の約1/5であり,液ジェットの分裂によって生成された液塊は5つ程の波を含むことが明らかとなった。また,単相液体である水と固体粒混入液体である水・アルミスラリーの違いはほとんど無いことが分かった。次に,位相・ドップラー粒子解析装置を用いて,噴霧粒子の粒径と速度の同時測定を行った。さらに内径1.2mmの等速吸引プローブを用いて液滴の質量流束分布を測定した。その結果,液ジェット中心部のコア部では,粒径が大きく,液滴速度が小さく,質量流束が大きいことが分かった。これらの結果を基に,平均粒径および質量流束分布の実験式を導いた。さらに,簡単な液滴の運動方程式をたて,液滴速度のシミュレーション計算を行い実験値と比較した結果,噴霧流のコア部では,噴霧流外縁と比べて気流と液滴の運動量交換のために,気流速度がかなり減少していることが明らかとなった。また水とスラリーを比較した結果,噴霧の平均粒径はほぼ同じであるが,スラリーの方が微小粒子はかなり多く,粒度分布は異なることが分かった。
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