Research Abstract |
本研究では,渦核中での火炎の挙動を調べるために,安定で流れ場がよく知られている渦輪に着目し,可視化実験により渦輪の流体力学的特性を調べ,さらに予混合気により形成された渦輪内での火炎伝播の様子を高速度カメラで観察し,渦核中を伝播する火炎の特性を実験的および理論的に検討した.本研究の結果を研究実施計画に合わせてまとめると以下のようになる. 1.ノズル直径が小さく,ピストンストロークおよびピストンへの圧縮空気の供給圧力が大きいほど,渦輪の移動速度は速い.また,その速度は,渦輪が生成された直後は速いが,ノズルから下流にいくにつれて次第に減少していく.これに対し,渦輪の直径は,ピストンへの供給圧力には依存しないが,ピストンストロークが大きいほど,大きくなる.また,ノズルから下流にいくにつれて渦輪の直径はわずかに大きくなる. 2.渦核上を伝播する火炎の火炎速度は,渦の強さと共に増加し,メタンー空気混合気の場合,本実験の範囲において最大16.1m/s,局所的には21.7m/sに達することが確認された. 3.不足反応物質のルイス数Le<1.0の希薄メタンー空気および過濃プロパンー空気混合気の火炎伝播限界は,Le>1.0の過濃メタンー空気および希薄プロパンー空気混合気の火炎伝播限界より広い.また,渦核内の最大周速度を一定とした場合,Le<1.0の希薄メタンー空気および過濃プロパンー空気混合気の火炎伝播速度は,Le>1.0の過濃メタンー空気および希薄プロパンー空気混合気のそれより大きい.このように,不足反応物質のルイス数は,渦核内を伝播する火炎の伝播限界および火炎速度に重要な役割を果たす. 4.Chomiakの理論にもとづいて導かれた火炎先端の形状を考慮した火炎伝播モデルによる火炎速度の理論結果は,実験結果と良く一致する.渦核内の火炎速度を定量的に予測するためには,渦核内を伝播する火炎の先端形状を考慮した火炎伝播モデルを用いることが重要である.
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