アリル化合物に対するヒドリドルテニウム(II)錯体の特異的反応と触媒作用
Project/Area Number |
04650778
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平木 克磨 長崎大学, 工学部, 教授 (70011004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 博之 長崎大学, 大学院・海洋生産科学研究科, 助手 (80214667)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ルテニウム錯体 / 有機ルテニウム錯体 / アリル化合物 / アリルアミン / アリルアルコール / 挿入反応 / ヒドリド錯体 / π-アリル錯体 |
Research Abstract |
最近、ルテニウム錯体を触媒とする水素化、異性化、及び脱水素反応等が活発に研究されているが、これらの反応において、ヒドリドールテニウム結合への不飽和化合物の挿入反応は重要な素反応である。本研究では、ヒドリドルテニウム錯体[RuClH(CO)(PPh_3)_3](1)に対するアリル化合物の挿入及び関連反応について検討した。 錯体1はアリルアミンと室温で反応し、窒素配位錯体[RuClH(CO)-(NH_2CH_2CH=CH_2)(PPh_3)_2]を生じるが、これは65℃で挿入錯体[Ru(CH_2-CH_2CH_2NH_2)Cl(CO)(PPh_3)_2]に変化した。この錯体はシス型とトランス型の混合物であった。また、N-メチルアリルアミンとジアリルアミンとはシス型挿入錯体[Ru(CH_2CH_2CH_2NHR)(Cl(CO)(PPh_3)_2]それぞれ、2(R=CH_3)及び3(R=CH_2CH=CH_2)を生成した。2は室温、溶液中でPPh_3を解離して生成するクロロ架橋型2核錯体との平衡にある。ヘキサンを加えることによって、この2核錯体を単離することも出来た。一方、室温で3のN-アリル基は運動しているが、-30℃では停止する。さらに、1とN,N-ジメチルアリルアミンとの反応では、上の3種類のアミンとは全く異なって挿入型錯体が単離されず、π-アリル型錯体[Ru(η^3-C_3H_5)Cl-(CO)(PPh_3)_2]が生成した。 錯体1は室温でメサリルアルコールと反応して、挿入型錯体[Ru(CH_2-CHMeCH_2OH)Cl(CO)(PPh_3)_2]を与えた。この反応をベンゼン還流下で行うと、イソブタノアト錯体[RuCl(O_2CCHMe_2)(CO)(PPh_3)_2]が得られた。一方、錯体1をアリルアルコールと反応させた時、挿入型錯体は単離できず、[RuCl{-0-CH=CMeC(=0)CH_2Me}(CO)(PPh_3)_2]が生成した。以上のように、1との反応によって生じる錯体はアリル化合物の官能基、置換基によって特異的に変わることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)