Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1992: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究は,研究課題に示すように,農業用水を中心としての自然科学と社会科学との学際的分野についての考察を行うものであった。その研究の場は,初年度は九州築後川中流域に,第2年度は木曽川中流域に,第3年度は利根川を水源とする中川流域に求めた。これらの地域には,それぞれ共通する問題が何点かあり,その最大のものは,何れもわが国の大河川の中流域に位置していることであり,用水開発の年代がほぼ一致していることである。そして,開発の手法には異なるものがあっても,地域開発・発展の中心をなしたものが農業用水そのものであったことが共通的特徴となっていることである。 農業用水についての研究は,法学的見地から,地方史的見地から,地理学的見地から,社会・経済的見地から及び技術的見地から等々多方面から行われているが農業用水にかかわる絶対的要件としては,施設の介在なくしては成立しないということである。従って,どの方面からの考究にも施設を度外しては,真の農業用水の解明に接近することはできないものである。農業用水は,その開発をも含めて制度的にも,技術的にも,またその維持管理においても,一貫して地域を主体としての合理化を進めて今日に至ったものであるが,国の行政の近代的(一率的)確立によって,明治以降徐々に画一化の方向をたどり,特に1950年頃からは,地方色の払拭傾向が強くなり,本来の農業用水からの逸脱が行政の強力な指導によって行われるようになった。そして,その非も短年月の中に明らかになることも多かった。 本研究では,農業用水合理化の事象を広く考えて,地域文化の創造と発展にかかわる地域的特性を制度・技術を調査をとおして考究し,農業用水のはたした農業・農村及び地域的功罪について,地域問題として明らかにしたものである。
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