Research Abstract |
1.線条体のカイニン酸による傷害に対応した基底核Fos発現の分析 成熟雄性SDラットの右線条体前半部にカイニン酸(KA)4μgを注入し,線条体ニューロン傷害を作製した.左線条体前半部には溶媒を注入し対照とした.術後0.5,1,2,4,8,16,24,48,96時間の生存ののち潅流固定を施行.Fos免疫染色によって淡蒼球(GP),Ep,STN,黒質(SNc・SNr),視床VL核の各切片から所見を得た.KA投与動物では,KA投与側のEp,STN,SNrにおいてKA投与2時間後からFos陽性ニューロンが出現し,24時間後ので持続した.GPでは4時間後から48時間後まで観察された.一方,VLでは2時間後から8時間後まで認められた.いずれの神経核においても4時間後に最大数の細胞が標識された.一方,SNcや反対側のすべての神経核のFos陽性ニューロンは終始僅少であった. 2.線条体のMPP^+による傷害に対応した基底核Fos発現の分析 MPP^+25μgを右線条体前半部に注入したSDラットで,上記時間経過ののち,Fos発現を検出した,MPP^+投与動物では,4時間後に投与側のGP,Ep,STN,SNrにおいて,KA投与動物より少数のFos陽性ニューロンが一過性に出現した. 3.以上の結果 (1)基底核出力系は線条体ニューロン傷害に対応してFosを発現すること,(2)視床下核はFos発現に関し,これら出力系に連動した変化を呈すること,(3)線条体入力線維の傷害後,基底核出力系に発現するFosは,より軽微かつ一過性であること,が明らかになった.
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