多核種NMR法による唾液腺導管細胞のK分泌Na吸収とエネルギー代謝共役の研究
Project/Area Number |
04670058
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
General physiology
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
村上 政隆 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10104275)
|
Project Period (FY) |
1992
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 唾液腺導管細胞 / 核磁気共鳴法 / 高密度培養 / ATP / クレアチンリン酸 / UDPG |
Research Abstract |
上皮膜における水、電解質の輸送機構を研究するため、輸送量が多く、刺激に応じて輸送の活性化が明確である唾液腺を材料に血管灌流系のイオン測定、NMR測定が行われ大きな成果を上げてきた。臓器レベルの実験系には数種類の細胞が含まれ、全体の結果として、80%存在する腺房細胞の情報を反映するものであった。次のステップとして約10%の導管細胞のイオン輸送機能の評価が必要とされる。今回の研究では、高密度に培養導管細胞に固定してNMR測定するためにlowmelting agarose法を適用した。細胞/寒天混合物を氷冷し、寒天/細胞の糸(cell/agarose thread)とし、この表面を酸素を飽和させた灌流液で絶えず洗い流すことにより、細胞環境を生理的状態に保った。細胞は、ヒト顎下腺導管由来細胞(HSG)、HSG株より誘導した腺房細胞の特徴をもつAZA3株を用いた。NMR測定システムとしては、スペクトロメータにはBRUKER AMX400、磁石はOxford 9.45 T広口径超伝導磁石を用いた。長時間(10-15時間)のコントロール実験でATP含量は維持されており、灌流条件が満足のゆくものであることが示された。^<21>P NMRスペクトル上には以下の11の共鳴線が観測された。全観測可能燐化合物量に対する相対値は、phosphomonoester(PME)25.9%、inorganic phosphate(Pi)10.0%、phosphodiesters(PDE、3components)14.9%、creatine phosphate(PCr)1.8%、adenosine triphosphate(ATP、3 resonance peaks)20.8%、uridine diphosphoglucose(UDPG、2 resonance peaks)26.6%であった。分泌刺激及び抑制の為にacetylcholine、ouabain、isoproterenolを灌流系に添加し、燐化合物の変化を調べた。これらの刺激薬、抑制薬で起こされた変化は、非常に小さいものであった(<10%)。無機燐の化学シフトより計算したpHも安定した値を示した。pHは通常7.2であったが、0.1pH以下の変化であった。すなわち、固定化した培養細胞のacetylcholineなどに対する反応は臓器レベルの反応から予測されるものよりかなり小さいことが判明した。同じ細胞を用いた細胞レベルの酸素消費量変化も燐化合物の小さい変化と一致した。一方、興味深い観察結果も得られた。非常に大きなUDPG(主にuridine diphosphoglucose)が、ラットではそれほど大量には観察されないが、ヒトの唾液腺では導管由来のもの(HSG)にも、腺房の性質をもつもの(AZA3)にも観察された。この理由は現在検討中である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)