Research Abstract |
キノロン薬とAl(OH)_3を含む制酸剤との併用によりキノロン薬の吸収・排泄に大いに影響のあることを明らかにした。その吸収・排泄に及ぼされる影響度は、各々のニューキノロン薬によって差のあることを知りえた。すなわち、OFLX、LFLXでは比較的少なく(AUC>50%)、TFLX、CPFX、NFLXでは非常に大きく(AUC<30%,Cmax<1.0μg/ml)、ENXはその中間(AUC<30%、Cmax>0.2μg/ml)に位置していた。これらの検討結果からキノロン薬の吸収・排泄に及ぼす影響はAl^<3+>>Fe^<2+>≧Mg^<2+>>Ca^<2+>の順であり、OFLX S‐(-)体とのキレート生成能とよく一致している。胃内pHの変化によるよりも金属イオンとキノロン薬とのキレート生成による影響と考えられることを発表した。 臨床効果にも影響を及ぼすほどであり、適正な使用方法を知る目的でニューキノロン薬とAl(OH)_3を含む制酸剤との時間差投与について検討した。1群4名の健康志願者にクロスオーバー法にてOFLX200mg投与前後に水酸化アルミニウム制酸剤(AL)1.0gを水100mlで内服させた。ALはOFLX投与2時間前、3時間前とOFLX投与1時間後、2時間後の4種類の時間差投与を行ない、AL非投与時のデーターと比較検討した。その結果、非投与時のCmax1.97μg/mlに対し、3時間前、2時間前内服では1.68、0.89μg/ml1時間後、2時間後の内服では2.61、1.87μg/mlであった。T1/2(h)では4.77時間が3時間、2時間前内服では4.48、6.82時間、1時間、2時間後内服では2.27、3.97時間であり、この際の24時間までの尿中排泄率は85.6,71.0、44.6%、そして77.6、66.8%であった。この結果、ニューキノロン薬内服症例にアルミニウムを含む制酸剤を投与する場合には、キノロン薬投与前3時間または投与後1時間の時間差を考慮すべきであると考えられる。今後、影響を及ぼさない使用方法を知る目的で血中濃度モニタリング(TDM)の方法について検討したい。
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