フィッシャー症候群の新しいマーカーとしての抗GQ_<16>抗体の意義と病態の解明
Project/Area Number |
04670485
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠 進 東京大学, 医学部(医), 助手 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 厚郎 東京大学, 医学部(病), 医員
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | フィッシャー症候群 / ギランバレー症候群 / ガングリオシド / GQ1b / ニューロパチー / 眼球運動 |
Research Abstract |
われわれは先行感染後の眼球運動障害・失調・深部反射消失を三徴とするMiller Fisher症候群(MFS)の急性期の血中に、ガングリオシドGQ1bに対する特異的抗体が出現することを報告した。そこでさらに対象を広げて検索したところ、眼球運動障害を伴うGuillain-Barre症候群(GBS)にも抗GQ1b抗体が検出されることが明らかとなった。一方その他の疾患対照(眼球運動障害を伴わないGBSを含む)および正常対照では同抗体はすべて陰性であった。抗GQ1b抗体のみられた症例では急性期をすぎると経過と共に抗体価は低下消失した。従って血中抗GQ1b抗体は先行感染後の眼球運動障害の急性期に特異的に関連して出現すると考えられる。抗体の結合特異性を検討するため、GQ1b類似の糖鎖構造をもつGT1aとの反応をしらべたところ抗GQ1b抗体陽性例全例で抗GT1a活性もみられた。抗GT1b活性はみられないため抗体の結合には基本糖鎖の末端のdisialosyl基が重要であると考えられた。抗GQ1b抗体と病態機序との関連をしらべるため抗GQ1bモノクローナル抗体を用いて、ヒト剖検例の神経組織を免疫染色した。その結果、眼球運動を司る脳神経である動眼神経・滑車神経・外転神経のnodes of Ranvier周囲が強く免疫染色された。脊髄前根および後根には同様の染色はほとんどみられなかった。さらに動眼神経と脊髄前根および後根のガングリオシド分画の薄層クロマトグラム(TLC)をレゾルシノール染色と抗GQ1bモノクローナル抗体による免疫染色で比較検討したところ、動眼神経ガングリオシド中のGQ1bの比率は脊髄前根や後根と比べて高かった。有髄神経のnodes of Ranvier周囲は神経伝導にとってきわめて重要な部位である。先行感染による感作により出現した抗GQ1b抗体が、動眼・滑車・外転神経の同部位に結合することにより急性の眼球運動障害をきたす可能性が示唆される。今後動物モデルの作成等により、病態機序をさらに詳細に解明することが必要と考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)