Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
ヒトの末梢筋の収縮を調節し,運動が巧みに行われるように制御するための第一の条件は,筋自身が自己の収縮状態を確認することである。この収縮状態をモニターし,その情報を脊髄や脊髄を経て大脳や小脳に伝えているのが筋紡錘とそれからの求心性線維である。筋紡錘は第I群a線維と第II群線維にその情報を伝えている。われわれは、短拇指外転筋のmotor pointを電気刺激することにより,筋紡錘からのgroupIa線維を刺激してそれにより発生する大脳誘発電位を記録できることを発表してきた。しかしこれらの研究から,従来盛んに行われてきた体性感覚誘発電位の研究結果とかなり異なる事実がいろいろと明らかになってきた。われわれはこれまでの結果を踏まえて,motor point刺激による大脳誘発電位について,頭皮上分布,睡眠による変化,さらに刺激時の拇指の運動を抑制したときの変化について検討を行い,motor point刺激による大脳誘発電位がgroupIa線維の直接刺激によるものではなく,motor point刺激により拇指が動き,筋紡錘が急激に伸張されることによって発生するIaインパルスによる運動誘発大脳電位であると考えられるに到った。われわれが行った拇指運動を抑制した実験で大脳誘発電位の発現が抑制され,睡眠でむしろ潜時が短縮する事や,Yamadaらにより提起された上肢阻血実験において短潜時電位が消失し中潜時電位が残存するという奇妙な結果あるいはAbbruzzeseらの同様の実験で手首の運動により誘発される電位は抑制されないという事実は運動誘発大脳電位の性格を示している。さらに今回の結論から運動誘発大脳電位の研究をすすめるとともに体性感覚誘発電位の中潜時成分における拇指運動由来の運動誘発大脳電位の混交について研究を進める必要があると考えられた。
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