Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
扁平上皮癌細胞より分泌される骨吸収因子、即ち副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)は1987年に、精製及び遺伝子のクローニングが行われ、その構造が明らかになった。私はこれをいち早く有機合成し、ラットのin vivoの系でその生物活性を検索した。PTHrPは副甲状腺ホルモン(PTH)と質的には同一の作用を有し、PTHより10倍も高い活性があることを見出し、強力な骨吸収促進因子であることを証明した(Horiuchi,N.et al.,Science,238;1566,1987)。更に、代表研究者らが開発したPTH阻害剤(Horiuchi,N.et al.,Science,220;1053,1983)やこれらのAnalogを有機合成し、悪性腫瘍による高Ca血症の治療法の開発を行った(Horiuchi,N.et al.,J.Bone Miner.Res.,5;541,1990)(Horiuchi,N.et al.,Bone Miner.,12;181,199)。本研究では、PTHrPの細胞内情報伝達機構の解明を行った。また、口腔上皮でのPTHrPの遺伝子発現の検索も加えた。 1.腎におけるビタミンD代謝酵素である、25OHD_<3->24水酸化酵素は、1,25(OH)_2D_3により遺伝子の発現が亢進し、その活性が著しく上昇する。1,25(OH)_2D_3投与により誘導される24_-水酸化酵素のmRNAレベルはPTHやPTHrPにより変化しないが、活性は有意に抑制された。PTHrPの作用機構の差異から、腎の24_-水酸化酵素には1,25(OH)_2D_3により誘導される誘導型と、正常動物で常に発現している定常型の2種類が存在する。(Akeno,N.,Saikatsu,S.and Horiuchi,N.,J.Nutr.Sci.Vitaminol.1993,in press)。 2.PTHrPのmRNAはヒト歯肉上皮において、一定量転写されており、このmRNAの合成量は歯周疾患により変動することが明らかになった(投稿準備中)。 今後、PTHrPの口腔組織における遺伝子発現の調節機構、及び、腎の24_-水酸化酵素の遺伝子発現の調節と酵素活性の変動により、PTHrPの作用機構を究明してゆきたい。
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