Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
アスパラギン酸プロテアーゼは生体において重要な働きをしており,活性部位としてアスパラギン酸を含有している一群の酵素の総称で,血圧,体液調節に重要なレニン,HIV(エイズウイルス)の増殖に重要な役割を果たすHIVプロテアーゼ等がある。我々は本酵素の作用機構研究から導かれた基質遷移状態概念を基盤として阻害剤の分子設計の一般的な方法論を確立した. レニンの特異的阻害剤は副作用のない理想的な高血圧症治療薬として注目されており,酵素と基質との相互作用の解析を行ない,基質遷移状態誘導体の概念を基に水素結合,立体的,静電的及び疎水的相互作用を考慮した阻害剤のデザインを行なった.即ち疎水性基,酵素に安定なretro-inverso amide bond,transition-state mimicとしてノルスタチン型bioisostereを導入し,高活性高選択性のレニン阻害剤KRI-1314を合成した.. この方法論をHIVプロテアーゼ阻害剤研究にも応用し,遷移状態ミミックとしてヒドロキシメチルカルボニルアイソステアを導入したアロフェニルノルスタチンを用いたトリペプチド,KNI-227,KNI-272等を合成した.これらの阻害剤は高活性高選択性を示し,酵素の活性中心をターゲットとしているため耐性も生じにくいと思われる.また,光学的純度の高い阻害剤を合成し,syn体のみが活性を示すという立体化学的に重要な知見を得た. 本研究に必要なHIVプロテアーゼは,生化学的方法では大量の酵素が得られないので化学合成を行なった.また合成の効率を高めるため,CysをAlaに変換した酵素の誘導体も合成した.
|