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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
がん細胞における遺伝子の脱メチル化状態については,遺伝子発現との関係についての報告が散見されるが,シトシン残基の脱メチル化により、DNAはより不安定な状態になっていると考えられ,遺伝子再構成やその発現と深い関わりを持つことが想定される。そこで遺伝子の脱メチル化が遺伝子再構成に作用し.腫瘍細胞の特性を規定しているのではないかと考え,造血器腫瘍における遺伝子再構成とその部位におけるDNAの脱メチル化状態の関係を明らかにする目的で以下の研究を行なった。 まず、T細胞受容体β鎮遺伝子(以下TCR‐β)はT細胞において再構成が認められることが知られているが,B細胞系腫瘍や骨髄性白血病細胞においても再構成が認められることより、TCR‐βの再構成と脱メチル化様式について検討した。その結果TCR‐βの再構成には,心ず再構成側対立遺伝子の脱メチル化が関与しており,この変化が細胞特性と相関していることが明らかになった。 次に,フィラデルフィア陽性白血病と関連の深いMajor breakpoint cluster region(M‐BCR)遺伝子について,再構成と脱メチル化様式について検討したところ,白血病細胞の細胞系列,分化段階によってメチル化様式が異なることが判明した。 以上の事実より、DNAの脱メチル化という現象は,造血器腫瘍の生物学的特性を規定している可能性が示唆された。今回の検討では,遺伝子発現との関連については,明らかではないが,DNAの脱メチル化という現象を広義のゲノム構造のダイナミクスの一つとしてとらえると,DNA結合蛋白質との相互関係を考える上で興味深い。
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