リン内殻電離によるDNA主鎖切断誘発のin vitroとin vivoの比較研究
Project/Area Number |
04680218
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
放射線5生物学
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
桧枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | DNA主鎖切断 / X線 / 内殻電離 |
Research Abstract |
リン内殻電離とそれに引き続くオージェ過程によって、乾燥プラスミドDNAに誘発される主鎖切断は、リン内殻電離の有無にかかわらず、吸収線量当りほぼ同一の効率で誘発された。本研究では、in vivoに外挿するために、単離プラスミドDNAを種々の含水量で照射し、主鎖切断誘発を調べた。結果を要約する。 (1)相対湿度0,12,33,53,76および92%で平衡させたpBR322DNA(1μgのDNAと緩衝液固形成分0.54μg)に、30kVpの軟X線を照射して、主鎖切断誘発の効果を見た。1本鎖および2本鎖切断ともにもっとも誘発されやすかったのは、76%相対湿度で加湿した場合であり、92%では逆に効率が下がった。含水量が増えれば、水に由来する間接効果が増すという単純な結果でないことが示された。 (2)含水DNAの主鎖切断におよぼすリンK殻吸収の効果を、2153eV(K吸収ピークエネルギー)と2147eVの単色光子照射実験で調べた。DNAは相対湿度89%の窒素ガス流で加湿した。主鎖切断を1個生成するのに必要な線量は、含水DNAでは、乾燥DNAのおよそ1/3となり、加湿の効果があらわれた。しかし水が試料の40%を占めると仮定して得たf因子を用いると主鎖切断を1個生成するのに必要な吸収線量が、X線エネルギーに依存しないことが示された。つまり、湿潤DNA試料でもリンK殻吸収が、主鎖切断を特別効率よく誘発しないという結果であった。 (3)以上の結果は、主鎖切断の数という単純な指標ではリンK殻吸収の特別な効果は見られず、切断端の化学的構造といったさらに化学的に詳細な分析を行って初めて特別な効果が見られることを示すのであろう。本研究では、主鎖切断に関して、in vitroとin vivoの違いを示す結果は得られなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)