Project/Area Number |
04680239
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90006586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 章 筑波大学, 地球科学系, 講師 (60155455)
佐々木 博 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70062817)
田林 明 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (70092525)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Keywords | CA貯蔵 / 冷蔵カキ / 果樹地域の再編 / 選果機械の更新 / 筑後川中流域 / 水田転作 / イノベーション / 浮羽町 |
Research Abstract |
CA貯蔵法とは、炭酸ガスの濃度を高めることによって果実の呼吸量を抑制し、果実の鮮度を保持する手法である。このCA貯蔵法は、1980年代からカキ(柿)栽培地域にも普及した。しかし、それは簡易CA貯蔵法というものであった。つまり、収穫したカキの果実をポリエチレンフィルムに密封することによって、果実の呼吸そのものによって、酸素8%、炭酸ガス濃度2-5%というCA貯蔵条件に近づけることが可能となった。 本研究の目的は、「技術革新と農業地域の再編」の一環として、カキ栽培を中心にしてCA貯蔵の進展が果樹栽培地域の再編成にいかなる影響を与えているかを解明することである。具体的には、筑後川中流域を事例として、カキ栽培農家におけるCA貯蔵の普及と伝播、冷蔵カキ実施状況の地域差を調査した結果、以下のことが明らかになった。 1 福岡県は1980年わが国最大のカキ産地に成長した。その核心地域は筑後川中流域の朝倉町・把木町、吉井町、浮羽町の4町であり、ここで全県の80%を生産する。この生産量の拡大は、山地斜面の開墾によるカキ園の造成と水田転作によって達成された。転作田には早生種のカキが栽培され、富有とともに出荷の長期化がはかられた。この面積の増大は果実の東京出荷によって達成されたものである。 2 CA貯蔵の冷凍カキの採用と遅れた出荷は、従来の販売方式に乗る形でなされたが、それが高価格で販売できたこともあり、中核農家に即座に採用され急速に普及した。CA貯蔵法の冷凍カキの採用によって福岡県のカキは半年に渡って出荷されることが可能となった。このことがカキ産地の再編成を迫り、東北日本での凋落、伝統的カキ産地である岐阜、和歌山、奈良の停滞をもたらした。
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