Project/Area Number |
04801020
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田中 重好 弘前大学, 人文学部, 助教授 (50155131)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 都市 / 住宅問題 / 住宅政策 / 私化 |
Research Abstract |
日本社会は高度経済成長をとおして、「豊かな社会」を実現した。しかし、住宅問題は解決されていない。戦後の住宅問題は、5つの時期に分けられる。第1期は戦後復興期である。この時期は、敗戦にともなう絶対的な住宅不足と住宅政策の欠如の時期である。住宅不足にもかかわらず、公共的な住宅の供給はなされず、私的な解決に任されていた。第2期は、住宅政策確立期である。この時期に、戦後住宅政策の三本柱といわれる法律が制定され、ようやく住宅政策の基本が定まった。これらの住宅政策の最大の特徴は、住宅を、低所得者層を除き、自助努力で(私的に)建設することを公的に奨励してゆくことである。第3期は、高度経済成長前期である。この時期には、若年層を中心にして人口が都市に集中し始めた。従って、公共的に住宅供給は追いつかず、さらに、私的に住宅を購入できるほどの生活の余裕がないために、民間の借家が最大の住宅供給源であった。 第4期は、高度経済成長後期である。前期には、政府・民間のいずれの資金も産業設備投資に流れ、住宅建設に回ってくる分はわずかであった。しかし、後期になると、財政資金に余裕が生まれ、住宅に積極的に資金が投入されるようになる。その結果、持ち家住宅が大幅に伸びた。しかし、土地政策の欠如のために、住宅需要が伸びるにしたがって、地価の高騰が生じたため、一般の給与生活者は都心から遠く離れた場所に住宅を購入せざるをえず、遠距離通勤を強いられる結果となった。第5期は、石油危機以降の低成長期である。低成長期に入っても、潜在的な住宅需要が大きいために、住宅建設の趨勢は大きく崩れたわけではない。しかも、近年の日本と諸外国との「貿易摩擦」のために、日本経済は「内需拡大型」の政策を選択し、住宅投資は衰えていない。ここに至って、第2期に作られた住宅政策の基本が問い直される事態になっている。 個々人の住宅需要を私的な領域に誘導することが公共的になされてきたこと、そのために高度経済成長の財政資金の流れに強く左右されてきたこと、さらに、住宅問題の底流に土地問題が大きく横たわっている。
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