社会科学からみた民族及び民族問題ーオーストロ・マルクス主義を中心に
Project/Area Number |
04803004
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済事情及び政策学
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上條 勇 金沢大学, 教養部, 助教授 (70113545)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1992: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ナショナリズム / 民族 / 民族問題 / オットー・バウアー / オーストロ・マルクス主義 / 民族自決権 / 民族自治 / マルクス主義 |
Research Abstract |
(1)本研究は、現代における民族及び民族問題を社会科学の見地から考究することを当面の課題として設定している。具体的には、旧ソ連・東欧諸国がナショナリズムの波に飲み込まれている状況の中で、マルクス主義における民族問題の取り扱いの再検討を目指した。 (2)この課題を果たすために、洋書・和書の購入、北海道大学、東京大学等の付属図書館、学部図書それに国会図書館を中心に、不十分とはいえ文献資料の収集に努めた。また、1992年度社会思想史学会における、民族問題をテーマとした共通論題に積極的に参加した。その他少人数の個別研究会で研究交流を深めた。 (3)研究成果としては、「オットー・バウアーの民族概念ーマルクス主義民族理論の反省」(『金沢大学教養部論集』30-2、1993年)を発表し、問題に取り組む上での足掛りを築いた。民族問題に関する各論者の対応は、民族概念の捉え方を基礎としている。この論文では、民族をブルジヨワ的範疇とし、民族の接近、融合、同化の将来を展望したレーニンの考えが、いかに旧ソ連における民族政策の誤まりに結びつき(ブレジネフ時代の新ソビエト人の形成努力)、民族問題を「マルクス主義のアキレス腱」とするに至ったかを明かにし、これとは反対に民族の実り豊かな将来的発展を展望したバウアーの所論の再評価を提唱した。 (4)現在研究課題を一応完遂するために、「オットー・バウアーと民族問題」という論文を作成中であり、この論文と前記論文をベースに『民族問題の思想的系譜』(仮題、梓出版社)という著作をこの10月に刊行する予定である。今回の科学研究費補助金の助成は、本成果の形成にまことに役立ったと言える。
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Research Products
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