Research Abstract |
本研究では,音響衝撃波が形成される過程とその伝播過程を,スーパーコンピュータを用いて解析することを主目的とした。つまり,数学的には,音響マッハ数がO(1)でかつ音響レイノルズ数が十分に大きいという仮定のもとに,オイラーの方程式系に対する初期値境界値問題を解くことになる。数値解析のための差分法としては、オッシャーのスキームを利用した。研究実績(実施結果)を以下に記す。 1。強非線形の鋸歯状型平面波の伝播とそれにともなう非線形現象については,その研究成果を既に第12回非線形音響学国際シンポジウムで発表しており,その内容はプロシーディングスとして出版されている。この研究結果に対して,さらに衝撃波形成前には音響流が発生しないことの証明,波の飽和現象の解析等を加えて,論文にまとめて,現在アメリカ音響学会誌に投稿中である。 2。無限に広い平面壁にはめ込まれた円形ピストンが運動することによって放射される強非線形音響波の伝播過程が解析された。この研究では、ピストン近傍における波の回折と強非線形効果の結合した現象を調べることを目的とする。研究成果は,第13回非線形音響学国際シンポジウムで発表することになっており,プロシーディングスの出版も予定されている。 3。大振幅の球の脈動による球面衝撃波の形成と発展の過程が数値的に調べられた。既に公表されている弱非線形球面音響波の理論解析の結果との比較検討がなされ,現在論文として投稿準備中である。 4。強非線形の平面N型波の形成と伝播についても,前記の鋸歯状型の強非線形波動で用いた方法がそのまま適用できる。現在研究進行中。 いずれの場合においても,強非線形音響波は既知の弱非線形音響波といちじるしく異なる伝播特性を持つことが判明した。
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