ヒドラの散在神経系における神経回路網の形成と維持の分子機構
Project/Area Number |
04804062
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
動物発生・生理学
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
小泉 修 福岡女子大学, 家政学部, 教授 (50094777)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 神経回路網 / 発生神経生物学 / 細胞間相互作用 / 形態形成勾配 / キメラ / ヒドラ / 再生 / トランスダクション メカニズム |
Research Abstract |
ヒドラは、動物界で最も単純な神経系・散在神経系を持ち、脳や神経節の分化が見られず、体全体に神経網を形成している。最近、神経ペプチドの抗血清および単一クローン抗体を用いた蛍光染色法により、この神経網を全載標本で正確に、かつ詳細に観察することが可能になった。また、ヒドラの神経細胞は、位置環境に依存して神経ペプチドの発現を切り替えたり、異なった神経細胞タイプ間の変換をする能力を持ち、神経系の動的側面を顕著に示すことも申請者らによって判明した。又、申請者は、頭部再生中の神経網の形成過程と出芽中の頭部神経網の形成過程について、形態形成異常の突然変異体とそのキメラを用いて検討し、その結果、神経網形成は、環境の上皮細胞に支配されることを、明確に示すことができた。 本研究では、散在神経系における神経回路網の形成と維持の機構を理解するため、神経網の形成と維持における神経細胞(前駆細胞も含む)と上皮細胞の相互作用の分子機構について検討した。 その結果以下のことが判明した。1、ヒドラの神経網における各神経部分集合の一定の空間分布を規定している上皮細胞の分子メカニズムは何か。この点を形態形成能力の勾配に異常を示す各種突然変異体と上皮細胞が野生株由来で神経細胞が突然変異株由来のキメラ、また、その逆の組み合わせのキメラなどを用いて検討した結果、形態形成能力の勾配が神経網の空間分布の決定に重要な働きをしていることが判明した。2、細胞の外部情報を受け入れる機構の一つであるprotein kinase Cを介したトランスダクション機構が、ヒドラの神経回路網の形成と維持に重要な働きをしていることが、C kinase系の2nd messengerであるDAG(diacylglycerol)の処理実験によって明らかになった。3、現在、本研究室では、神経細胞を全然含まない上皮ヒドラを維持・増殖している。この上皮ヒドラに神経細胞の前駆細胞である幹細胞を導入し、神経網の形成の様子を各部位、各神経部分集合について比較検討した。その結果、触手と口丘では全く異なった神経網形成の機構が働いてモザイク状の神経網の維持に寄与していることが判明した。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)