Research Abstract |
従来の機械図面の認識に関する研究は部品図認識がほとんどであるが,そこにおいても次のような問題があった.すなわち,機械図面においては,論理回路図,地図,天気図などの他の図面に比較して,(1)線要素の種類が多い,(2)非定型的な形状が多い,(3)対象が三次元である,(4)寸法,文字などの付随情報が多い,などの理由からくる様々な困難な問題があることである.このため,従来の機械図面の認識に関する研究は,図面の記法に制約を課すか(企業で製品化されているシステムのほとんど),設計対象を限定することによってその困難さを回避する研究がほとんどであった.本研究室では,JISに則るという条件以外は記法に制約をつけず,現在使われている一般的な製図図面を対象とする汎用的な認識手法をすでに開発してきた. 本研究ではさらに,認識対象を一般の機械製図で扱われる組立図にまで広げ、そこに書かれているあらゆる情報(形状情報,接続情報,運動自由度,寸法,交差,仕上げ情報など)を統一的に表現するアセンブリモデルへと変換し,最終的にCADデータとして用いうる形の情報を出力するまでの奥の深い認識システムを開発するための基礎研究を行った. 具体的には,以下のような成果が得られた. (1) 組立図における自動部品展開の手法を確立した.すなわち,組立図全体をいくつかに分割しスキャナーで入力するための細分割入力手法を開発するととも,各領域を並行して処理する手法を考案した.また,細分化されて構造化された領域ごとの認識モデルの統合化アルゴリズムなどの,組立図固有に現れる諸手法を考案した. (3)各部品間の関係,特に接続関係及びそれに付随する固定や運動の自由度の情報を重視し,それらを系統的に表現するためのアセンブリモデルの表現法の枠組みを決めそのプロトタイプを考案した.そのため,いくつかの企業からサンプル図面を提供して頂き,CADのコアモデルとして必要になる情報の収集及び整理を行った.
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