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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
視床下部や下垂体からの中枢ホルモン系が,生体の恒常性維持のために分泌されて免疫系にも作用をおよぼし,あるホルモンは免疫系の働きを高め,あるホルモンは逆に抑制したりすることは充分あり得ることと考え,研究を開始した。しかし,中枢ホルモン系が遠隔的に免疫系にたえず影響を与えていては,免疫系はその応接に暇がなく,生体の恒常性は却って乱れる可能性も想定される。事実,免疫系細胞は中枢系ホルモンに対する受容体をもっているだけでなく,自らも視床下部ホルモンや下垂体ホルモンと同じか類似の因子を産生していることが,最近の研究によって明らかにされている。この場合には,免疫系におけるホルモンは,サイトカインと言った方が適切であろうと考えられる。そこで本研究では,上述のどちらかの場合であっても起こり得る実験系として,種々の中枢系ホルモンのin vitro免疫応答への影響を調べてみた。その結果,オピオイドや副腎皮質刺激ホルモンなどのストレス関連ホルモンや,サブスタンスPなどが,マクロファージの抗がん作用,ヒト末梢血白血球のインターフェロンαおよび8,マクロファージのインターロイキン6の産生などに,多様な効果をもたらすことがわかった。 別の研究として,マウス骨髄細胞から樹状細胞への分化を,サイトカインやホルモンで誘導し得るか否かを検討した。その結果,いわゆる中枢系ホルモンでは樹状細胞の分化誘導には無効のように見えたが,GM-CSFとよばれるサイトカインが有効であった。しかし,本当にGM-CSFだけが充分条件なのかどうかは不明である。実は,いわゆる中枢系ホルモンが骨髄細胞でも産生され,自己分泌や傍分泌によってGM-CSFと共働しているのかもしれない。この実験系で内因性のホルモンが充分にあれば,添加したホルモンが無効のように見えるのは当然であろう。今後は,免疫系の内因性ホルモンのサイトカイン的役割を更に検討したい。
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