Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の目的は平成17年度に宇宙航空研究開発機構宇宙科字研究本部によって打ち上けられた日本の科学衛星「すざく」に搭載された世界初のX線マイクロカロリメータXRSを用いて、巨大ブラックホールの空間構造を観測することであった。XRSを用い、ブラックホールに落ち込む物質が解放する重力エネルギーによって高温に熱せられた物質からの輝線成分とより中心のBH付近から強く放射されていると考えられる連続成分とのタイムラグを観測することで物質の分布を極めて正確に決めることができると期待された。しかし「すざく」衛星は軌道投入は無事成功したものの、XRSの冷媒である液体ヘリウムが消失したことによって、XRSが使用不可能になってしまった。そこで私はこの無念を晴らすべく、より高感度のカロリメータ検出器系の構築を、次世代X線観測衛星を目指し行って来た。私は昨年度より産総研および生産研の装置を共同で使用させて頂くことにより、TES温度計を用いたマイクロカロリメータのインハウス製作を行って来た。昨年度はインハウス化を済ませ5.9keVでのエネルギー分解能〜60eV(ベースライン〜7eV)のカロリメータを製作した。ここでベースラインとはノイズで決まる原理的に到達可能な分解能であり、実際の分解能との差はTES温度計で吸収されたX線イベントの場所依存性のためと考えられた。そこで、今年度私は大学院生らと協力し、初の金吸収体付きインハウスカロリメータを製作し、5.9keVでのエネルギー分解能4.8eV(ベースライン4.2eV)を達成した。この分解能は非分散系のX線検出器としては私の知る限り日本最高レベルと考えられる。同時にカロリメータ用の光学系として独自に開発をすすめてきた超軽量X線光学系の開発を行った。昨年度までに私は半導体微細加工技術の一つシリコンの異方性エッチングを使ってX線反射鏡を安価にしかも軽量に製作できることを世界で初めて実証した(発表(1)-2)。本年度私は大学院生と共に、初の一段型集光系の開発を行い、宇宙研の30mX線ビームラインにてファーストライトイメージを取得することに成功した。これは原理的にこの方法でX線光学系を構築できることを実証するものであり、従来よりも一桁以上軽量にX線を開発できることを示したことになる。本研究は2年連続で光学系最大の国際学会の一つSPIEの口頭発表に選ばれ、さらに多くのSPIE発表論文の中からSPIE Newsroomに招待され論文が掲載された。また、MEMSの最大の国際学会の一つTransducersにおいてもLate News論文に採択された。こうした装置開発と平行して、私は「すざく」衛星を用いた彗星のデータ解析やChandra衛星を用いた大質量星形成領域の解析を進め論文にまとめた(発表(1)-1)。
All 2007 2006 2005
All Journal Article (12 results) Book (1 results) Patent(Industrial Property Rights) (2 results)
Publ.Astron.Soc.Japan 59
Pages: 1-1
Pages: 35-35
Pages: 161-161
NIM-A (In press)
Proceedings of Transducers'07 (Late News) (In press)
The Astrophysical Journal 649
Pages: 123-123
Applied Optics 45
Pages: 8932-8932
Proceedings of SPIE 6266
Pages: 38-38
SPIE Newsroom (on-line Journal)
Proceedings of Optical MEMS
Pages: 84-84
Astrophysical Journal 638
Pages: 860-877
Proceedings of the SPIE 5900
Pages: 328-337