Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
アルツハイマー病発症機構を考える上で、β-アミロイドペプチド(Aβ)の神経細胞への沈着、凝集のメカニズム解明は重要な研究課題の一つである。本研究では、擬似的に配向脂質二重層膜を作成し、40残基のAβペプチドを添加することで、ペプチド濃度依存的なリン脂質膜の配向挙動を^<31>P角度依存NMR法によってモニタリングした。本年度、これら一連の角度依存NMRデータを詳細に解析したところ、Aβ存在下により、配向脂質二重層はヘキサゴナル相と呼ばれる形態を形成し、膜破壊に至っていることを示唆する証拠を得た。さらに、本年度、Aβペプチドの局所的な構造晴報を得るため、安定同位体ラベルを施したAβペプチドを合成、水和した脂質膜と混合し、固体NMR法による測定・解析を行った。構造解析にあたり、通常の固体NMR測定法である^<13>C CP/MAS NMRならびに高い運動領域がより強調される^<13>C DD/MAS NMRを併用することで、脂質膜中におけるAβペプチドの局所構造と運動性を詳細に検討した。この結果、ペプチド中に存在するVal^<18>およびAla^<21>は、脂質膜存在下において大部分がβ-シート構造を形成する事で凝集しているが、一部、α-ヘリックス構造を形成し、膜貫通していることが示唆された。以上、本年度得られた結果に関しては、関連学会において、口頭、ボスター発表を行うとともに、現在投稿中の論文によって報告し、概ね計画通り、本研究計画を終了する。さらに、繊維物質の固体NMRによる精密構造構築手法の開発の一環として、昨年度から引き続き、シルクをモデル系とした構造解析も平行して行い、4件の学会発表(うち口頭発表2件)、また、国内外の関連誌に2報発表した。
All 2006 2005 2004 Other
All Journal Article (8 results) Book (1 results)
J.Am.Chem.Soc. 18
Pages: 6231-6238
高分子論文集 63
Pages: 707-719
Biomacromolecules 7(In press)
Biomacromolecules 6
Pages: 3220-3226
Macromolecules 38
Pages: 3356-3363
Protein Sci. 14
Pages: 2654-2657
Macromolecular Bioscience 4
Pages: 175-185
Polymer Journal (In press)