Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
カニの一種であるBlue crabの脱皮抑制ホルモン(MIH)の組換え体を、大腸菌を宿主とした発現系を利用して調製した。この組換えペプチドを用いてセカンドメッセンジャーアッセイを行ったところ、Y器官におけるcGMP濃度の顕著な上昇が確認された。ここで得られた組換え体によってMIHのさらに詳細な機能の解析が進むものと期待される。甲殻類血糖上昇ホルモン(CHH)は、甲殻類の血糖値を制御するホルモンとしてよく研究されている。そのスプライシングバリアントとしてPO-CHHというペプチドが報告されているが、このペプチドの機能は明らかになっていない。そこで、このペプチドの機能を探索することを目的として、組換えPO-CHHを調製した。この組換えPO-CHHを用いてセカンドメッセンジャーアッセイを行った結果、えら、肝膵臓、触角、Y器官、筋肉ではcGMP値の上昇は見られなかったが、前腸(胃)、中腸、後腸、心臓において有意な上昇が観察された。組換えPO-CHHを放射性同位元素によって標識し、その標識ペプチドを用いて中腸および後腸の膜画分との結合実験を行った。その結果、PO-CHHは両組織の膜と特異的に結合することが明らかになった。これはPO-CHH受容体がこれらの組織の細胞膜上に存在していることを示している。これらの結果から、PO-CHHが腸管を介して何らかの機能をはたしていることが明らかになった。CHHはえらや肝膵臓、筋肉などを介して機能することから、PO-CHHの受容体はCHHとは異なっていることが示唆された。CHHの機能が血中グルコース濃度の調整、血中浸透圧調整などであることから、PO-CHHの機能が腸管におけるグルコース(あるいはそれ以外の栄養素)の取り込み、あるいはイオン透過などの調節を行っていることが予想される。これらの仮説について今後、検証が進んでいくと期待される。
All 2005 2004
All Journal Article (3 results)
General and Comparative Endocrinology 144・3
Pages: 232-239
Oeptides 26・2
Pages: 359-368
Zoological Science 21・11
Pages: 1121-1124