Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
輝度,色,形態,奥行き,運動などの視覚情報は,異なる領野において処理された後(視覚の機能局在),それらが統合されるが,その統合過程(Binding problem)についてはまだほとんど明らかになっていない.本研究では,色運動非同期錯視と呼ばれる錯視を用いて,知覚的同期に基づく色と運動の統合過程について検討した. まず初めに心理物理実験を行うことで,色や運動などの刺激属性に付けられたタイムマーカーのマッチングを行うことで情報統合が行われているとするタイムマーカーモデル(Nishida and Johnston,2002)の検証を行った.このモデルに対して否定的な研究がいくつか報告されていたが,これらの結果がアーティファクトによるものであることを明らかにするとともに,タイムマーカーが各情報処理の終点ではなく始点につけられることを示した. 続いて,この刺激に対するMEG反応を計測した.本錯視では,色変化と運動方向変化の同期知覚が,物理的に同期していない条件において成立するため,本実験により物理的同期ではなく,知覚的同期に特化した脳活動の計測が可能である.そこで,1.色の反転,2.運動方向の反転,3.色と運動方向の反転(両者が物理的に同期),4.色と運動方向の反転(運動が100ms先行),の四刺激に対するMEG計測を行った.心理物理実験により,3の刺激では被験者が色と運動を同期して知覚せず,4の刺激では両者を同期して知覚することを確認した.色反応と運動反応の相互作用を,3,4それぞれの反応から,1の反応と2の反応の和を差し引くことによって定義し,この相互作用を時間周波数領域において算出した.その結果,ガンマ帯(30Hz-)における相互作用が,知覚的同期の条件において有意に大きくなったことから,ガンマ帯の活動が運動情報と色情報の統合に関与している可能性が示唆された.
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