Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 盛 神戸大学, 医学部, 教授 (50030911)
芹川 忠夫 京都大学, 医学部, 教授 (30025655)
志佐 湍 埼玉県立がんセンター研究所, 病理部, 副部長 (90073121)
樋野 興夫 癌研究会癌研究所, 実験病理部, 部長 (90127910)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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Research Abstract |
前田,高橋,杉山は,DMBA,TMBA誘発ラット白血病の遺伝子異常を解明する作業を開始した.まず前田が確立したDMBA誘発白血病のK1D,K2D,K3D,D5A1などの細胞株で,Nrasの61コドンの変異を一致して認めた.また,高橋はmRNAの発現を,杉山は造血を阻止した多血症ラットにエリトロポイエチン(EP)を投与して骨髄のmRNA発現を解析した.これには未知遺伝子のmRNA解析法(Liang・Pardee,1992)を用いた.全mRNAのcDNAについて,3'端のpolyAと5'側に10マー程度のオリゴヌクレオタイドをプライマーとしてPCRで増幅したのち解析した.EP刺激下に発現する骨髄,増殖刺激下の肝,腎細胞のmRNAとも対比して各白血病細胞の遺伝子発現の特徴を解明することに成功し,現在K1DにおけるRB類似遺伝子ほか,幾つかの遺伝子を釣り上げている.樋野は遺伝性腎癌の系を確立して10q12,5q31-33に抑制遺伝子の存在することを示しクローニング中である.志佐はPNUリンパ腫の病型決定に関与する遺伝子の存在を解明し,その染色体部位を決定した.吉田は,LEC肝癌の遺伝子は1,10染色体に存在することを示した.芹川は,体細胞交雑,in situ分子雑種,ms解析,PCR法を組み合わせてラットの遺伝子マップ法の基礎を確立した.豊富な発癌系にもかかわらず,ラットの遺伝子解明が遅れていて困難を感ずるが,他方,新知見を解析できる利点があり,豊富な研究方法を駆使して,急速に遅れを取り戻せると考えられる.平成5年10月21日に,杉山,樋野,吉田が世話人として開催したラット発癌系に関する日本癌学会シンポジウムには280人以上が参加するなどラット発癌系での遺伝子解析の関心は高い,マウスと異なり発癌系は豊富で未知の世界が多く,ヒトでは出来ない研究がラットで新鮮な立場で実施されると思われる.
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