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¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Research Abstract |
マウスDT細胞の軟寒天内増殖は正常ヒト1番染色体移入により抑制される。さらに,ヒト1番染色体移入DT細胞から希に出現する軟寒天内増殖クローンについて,ヒト1番染色体上の共通欠失領域の同定を行ったところ,1q21あるいは1q23-q25領域にこの抑制にかかわる遺伝子の存在が推定され,この領域から1つの候補遺伝子YLの単離に成功した。そこで,DT細胞の軟寒天内コロニー出現頻度を指標にして,遺伝子導入によるヒトYL遺伝子の抑制効果について検討した。 サイトメガロウイルス発現ベクター(pRc/CMV)にYLcDNAをセンスあるいはアンチセンス方向に連結したプラスミド(pCMV-YL,pCMV-YLR)を作製し,それぞれDT細胞に導入した。導入細胞の軟寒天内増殖およびその発現等について検索した結果,pCMV-YL導入DT細胞(YL-DT)においてのみ軟寒定内コロニー出現頻度の低下が認められた。さらに,YL-DT細胞由来の軟寒天内増殖クローンの解析を行ったところ,neo遺伝子を含む発現プラスミドの消失,あるいは発現プラスミドを保持したままでのヒトYLcDNA発現の著しい低下が認められた。pCMV-YLR導入DT細胞(YLR-DT)由来の軟寒天内増殖クローンの解析では,導入した発現プラスミドの存在が確認された。 これらのことから,ヒトYL遺伝子はDT細胞の軟寒天内増殖を抑制する効果をもつことが強く示唆された。他方,YLcDNAの予測されるアミノ酸配列は多くの転写因子にみられる特徴をもっており,大腸菌において産生させたYL蛋白には強いDNA結合能が認められたことからも,YL蛋白が他の遺伝子群の転写調節を介して機能している可能性が考えられ,標的遺伝子の同定等を含め今後の検討が期待される。
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