Project/Area Number |
05152113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真 自治医科大学, 医学部, 講師 (40217774)
香川 靖雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (30048962)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | 老化 / ミトコンドリア / 癌遺伝子 / 細胞融合 / 核細胞質連関 / rho°細胞 / HeLa細胞 / サイトプラスト |
Research Abstract |
[研究目的]正常の体細胞の老化の機構(香川編:細胞工学特集12(3)1993)は、必ず不死化している癌細胞の研究の基本的な課題である。本研究の目的は老化細胞サイトプラストと不死化細胞の融合によって、老化遺伝子産物を実測して、対立する老化の仮説を検証することである。老化のプログラム説の具体的機構として細胞分裂回数にしたがって短縮する染色体の末端構造テロメアが重視されている(Allsop,R.C.1992)。これに対して老化のエラー破局説では環境による遺伝子損傷を重視し、活性酸素によりDNAに作られる80H-デオキシグアノシンの形成量と種の最大寿命の高い相関を見いだしている(Cutler,T.G.1992)。好気性代謝はエネルギー獲得系の中心であるか活性酸素を放出して特にヒストンの保護の無いミトコンドリア(mt)DNAの変異を起こし、加令と共に蓄積させるというmt老化学説が提唱されている(Linnane-小沢、1990)。 [実験結果]胎児から高齢者にいたる16種の年齢の線維芽細胞のmt機能を測定すると呼吸能もタンパク質合成能も80才以上では0才の場合の約15%に低下していた。老化細胞の核をサイトカラシンB-遠心法で除いてサイトプラストを作る。HeLa細胞のmtDNAをあらかじめ臭化エチジウムで除去してrho°株HeLa細胞をつくる。ポリエチレングリコールで老化細胞サイトプラストとrho°株細胞のサイブリッドを作ると、老化mtの機能は完全に回復された(J.Biol.Chem.269、印刷中、1994)。細胞核のmt支配機構の一部(J.Biol.Chem.268,24950,1993)や核性のmt転写-複製因子の亜型(BBRC194,544,1993)も発見した。 [老化遺伝子産物SDI1の癌抑制]老化細胞はG_1期停止の状態にある。老化細胞のサイトプラストを若年細胞に融合させるとNDAの合成が阻害された。融合前のサイトプラストのタンパク質合成を阻害すると、NDA合成は阻害されない。この老化末期に増加する遺伝子産物としてSDI1(6p21)が単離された。この研究のため中西はBaylor大学に留学し、SDI1がG1期サイクリン-Cdk2-4複合体に結合してそのキナーゼ活性を阻害すること、p53のDNA合成阻害作用は癌抑制遺伝子としてのSDI1の発現を介する事を発見した。 [結論]細胞の老化の本質的な原因は核側の優性支配によりSDI1等を介し、mt変異等の劣性の変異の蓄積とは考えられない。これは老化プログラム説を強く支持する。
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